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はじめに クリニカルパスとは,「患者状態と診療行為の目標,および評価・記録を含む標準診療計画であり,医療の質を改善する手法(日本クリニカルパス学会より,一部改変)」とされています.パスを使用し,多職種が協働し治療やケアを行うこと,新入職員の教育にも活用することで,医療が標準化されます.これは結果的に病院施設の経営改善にもつながります.また,患者や家族にとっては治療経過をあらかじめ知ることができ,安心して医療を受けられることになります.ただし標準であるために,患者の既往歴や生活歴などに伴う個別性に沿った看護をパスの上にトッピングすることが大事です. このためには,まず基礎を知り,その背景となるエビデンスと,個別性を生む看護のポイントを学ぶ必要があります.人間の解剖学の知見は変わりませんが,医療機器・医薬品の種類や性能・効果は幅広く厚くなっています.その進歩に伴い,疾患の原因究明や新たな検査・治療方法などが確立しています.ガイドラインも常にアップデートされ,臨床の現場ではそれらに沿った対応が行われるようになっています. 循環は医療に携わる人々にとって,最も基礎的かつ重要な分野の1つです.同時に患者においても心臓に関することは不安が付きまといます.だからこそ,循環において吸収しなければならない知識は膨大です. 本書は,第1部では循環器科・心臓外科の主な検査,内科・外科的治療に関するパスの項目ごとに,個別のケアを考えるよりどころとなるケアの根拠,看護のポイント,看護計画との関連などをひとめでわかるように見開きで構成しました.第2部では,実践に役立つように循環器科・心臓外科で必要な看護の知識について述べています.本書をもって,クリニカルパスをベースとして考え,より多様な個別性のある看護を生み出すきっかけとしていただけると幸いです. 2016年12月社会福祉法人恩賜財団済生会横浜市東部病院看護部          急性・重症患者看護専門看護師/救命救急センター看護師長 河原﨑 純

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