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51章心リハについて知っておくべき基本知識なぜ心リハが必要なのか?Aの期間にAMI入院患者数は増加傾向,さらにPCI件数は著明に増加している.すなわち,治療の進歩により死亡率は低下したものの,発症率や発症数の抑制にはいまだ成功していない. 次にAMIの治療成績を眺めると,最近40年間で急性期院内死亡率は20%から約5%前後にまで大幅に低下している(図5).ところが退院後の長期予後に関する2つの報告では,退院後4.3年間で1/3の患者が心死亡または心疾患入院を経験し(図6A)12),また糖尿病・非糖尿病患者とも退院後3年間で30〜40%の重大心事故を経験している(図6B)13).これらの成績は,治療の進歩によりAMI急性期死亡率は低下したものの,退院後の長期予後改善にはいまだ成功していないことを示している. 初回AMIの退院後の予後に関する疫学デ図5急性心筋梗塞の院内死亡率の経年的推移197519801985199019952000200520102015院内死亡率25(%)(年)20151050国循CCUに入院した急性心筋梗塞患者6,297名の院内死亡率 は,1978年から2015年にかけて20%から5%前後へと著明な低下を示している.(著者作成)図4わが国における心疾患各種指標の動向180160140120100806040200男性心疾患年齢調整死亡率(/100,000人)19802004女性19802004120100806040200男性AMI年齢調整発症率(/100,000人)19901999女性19901999109876543210AMI入院患者数(万人/年)200020112015302520151050PCI件数(万件/年)200020112015心疾患関連の各種指標の近年の動向を示す.心疾患年齢調整死亡率は著明に低下したが,地域コホート研究では急性心筋梗塞(AMI)年齢調整発症率は1990年以降むしろ増加し,AMI入院患者数も2000年以降増加傾向,さらに冠動脈インターベンション(PCI)件数は著明に増加している.(文献9〜11に基づき著者が作成)

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