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先天性心疾患の手術は1950年くらいから始まり,その後50年でめざましい進歩をとげました.手術死亡率は下がり,かつては助からなかった疾患でも高い確率で助かるようになってきました.早産児や低出生体重児でも手術できるようになっています.先天性心疾患の治療成績が上がってきたのは,手術にかかわる技術的進歩をはじめとして,診断,内科・外科治療,看護,多職種のチーム医療のすべてがうまく機能するようになってきたからだと思います. 他の病気と同じように,先天性心疾患の治療においても多職種がチームで医療を行うようになっています.しかし,いくらチーム医療といっても,それぞれの職種がプロとしての技量を発揮しないことには,成立しません.当然,看護の面でも,プロとしての技量が要求される時代になっています.本書は,先天性心疾患患者の看護にかかわるすべての医療職の方々,特に看護師に向けて,先天性心疾患の病態と,病態に基づいた看護のコツについてわかりやすく解説したものです. 先天性心疾患で治療を必要とするのは小児だけとは限りません.新生児から高齢者まで,幅広い年齢層の先天性心疾患患者が医療を必要としています.小児疾患の看護だけ考えていればよいという時代ではなくなっています.本書では,小児を中心としながらも,成人期の先天性心疾患についても解説されています.小児の看護にたずさわっていても,その子が数十年後にはどうなっているのか,先天性心疾患の自然歴を理解することも重要です. 本書は, 1.看護師,看護学生,新人医師を対象とする 2.できるだけ平易に,理論立てて病態を解説する 3.成長段階ごとに先天性心疾患の項目立てをする 4.看護を理論的に分析するという編集方針で執筆しました. 病態を理解したうえで,理論的な看護をしていくことが重要です.本書が,そのような看護の発展に役立てれば幸いです. なお本書は,2001年刊行の『病態生理からみた先天性心疾患の周手術期看護』(中澤誠,木村しづ江 編著)の内容をもとに制作したものです.疾患の構成はほぼ初版を踏襲しています.内容に関しては,一部は初版のままの部分もありますが,初版を参考にして全面改訂をめざしました.ここに初版の編者,著者に感謝の意を表します. 2015年6月中西敏雄 はじめに
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