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 心電図を勉強しようと思っても、挫折を経験した方は多いと思います。電気生理学的検査やアブレーション治療は、さらに難解で習得することは不可能に思えるほどです。多くの初学者にとって、アブレーション治療の指南本は難解で、あたかも宇宙人の暗号解読書のように感じることでしょう。 2010年に『看護師・研修医・臨床工学技士のためのカテーテルアブレーションの治療とケア』が本書と同じく貝谷和昭氏・柴田正慶氏のコンビによる編著で上梓されました。これは「む・・・・・ずかしい」が・「お・・・・・もしろい」に・・・・変わるをコンセプトとして実践的にアブレーションを解説した書籍で、幸いにも多くの方々に読んでいただく機会を得ました。アブレーション治療に携わる方々への知識の普及に一定の役割を果たせたものと自負しております。あらゆる治療は、日進月歩さらに分進秒歩といわれるまでのスピード感をもって進歩します。そこで、最新の治療内容を加えるとともに、ケアの流れや合併症・急変時の対応もくわしく解説し、さらにわかりやすく、現在のアブレーション治療に相応しい内容に生まれ変わったのが本書です。電気生理学へのアレルギーを取り除き、アブレーション治療に実践的に参加する基本的能力を身につけるという目標は踏襲しています。 アブレーション治療では、難しい不整脈を電気生理学的検査で理論的に追い詰め、焼灼して治療します。ポイントは理論的であるということです。逆説的には、その理論がわかれば“眼から鱗が落ちる”ようにわかります。一見難しいようにはじめは感じますが、実際は理論的である分だけ明快です。本書では、アブレーションの理論が、かゆい所に手が届くように説明されています。 経験豊富な執筆陣の総力を結集して本書は完成しました。皆の頑張りには本当に頭の下がる思いです。本書の製作に尽力いただいたメディカ出版の鈴木陽子氏の粘り強いサポートにも感謝しております。本書に凝縮された皆のエネルギーが読者の皆様にも伝わることを確信しています。このエネルギーがアブレーション治療を普及・発展させ、不整脈に悩む人々に福音を届けることを願っています。 2017年1月中川義久はじめに

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