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iiiはじめに この本を手に取ってくださった皆さんは、循環器疾患を苦手だと感じていますか? 自分は得意だと思われている方も、それを患者さんや後輩に上手に説明することができますか? 高齢化が進む現在では、循環器の病気を持っている患者さんと接することは避けて通れません。また、患者さんのみならず、ご家族や他の医療スタッフとも循環器疾患について話をする機会も多いのではないでしょうか。 本書の1章では、最初にシンプルに循環器疾患の理解のための解剖や病態生理を知ってもらいたく、私が普段の診療で患者さんとご家族に説明をしている言葉をそのまま文章にしました。まずこれを読んでイメージを膨らませて、診療や診察のキホンを知ってもらえる内容になっています。2章以降の疾患の解説では、病態生理を柔らかくかわいいイラストでイメージを理解してもらい、日々の臨床現場で必ずおさえてほしいポイントはもちろん、実際に臨床で使われる表現や言葉などの説明も随所に盛り込んでいます。教科書的な表現や説明はできるだけ避け、より臨床の現場で「使える」テキストは何かについて考え、こだわった一冊となっています。現場の方々の声を聴きながら、循環器病棟だけでなく、一般病棟のナース・コメディカルにも使いやすい本を目指しました。  本書の執筆は、香川医科大学出身の同級生で構成されています。コンセプトから監修を担当し、このような機会を企画してくれました同期の大八木秀和先生、およびシリーズのコンセプトから編集作業に最後までご協力をいただいたメディカ出版の江頭崇雄さんに御礼を申し上げます。また、心音データを提供いただいた山崎直仁先生、病理画像を提供いただいた中嶋絢子先生、先天性心疾患を指導いただいた山本雅樹先生、データ検索をしていただいた生理検査技師の皆さんにも感謝申し上げます。 今回の執筆にあたり、原稿作成で同期の皆と繋がり共有できたこと、出版作業でメディカ出版の皆さんとチームとして仕事ができたことが、私の臨床現場でのスキルアップとなったことは間違いありません。 昨今の医療現場ではチーム医療が求められています。チーム医療の形成には一人の医師の力だけでは成り立たず、周りのサポートや連携が重要です。皆さんにとって本書が、このチーム形成の力となれるステップやスキルアップに繋がる一冊になれば幸いです。 2019年8月高知大学医学部老年病・循環器内科学講座 助教 宮川 和也

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