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大動脈弁閉鎖不全症(逆流症)1534章 弁膜症症状・診断慢性大動脈弁閉鎖不全症(AR)の場合、無症状の期間が長い● 慢性大動脈弁逆流では、無症状のまま長期に経過する。● 病態が進行すると、肺うっ血、呼吸困難などの左心不全症状が生じる。病態生理急性と慢性で対応が違うのがポイント急性大動脈弁閉鎖不全の進行と対応● 急激に大動脈逆流が起こった場合(例えば大動脈解離など)は、急激な容量負荷に対して左室拡大による代償ができないため、急激に左室拡張末期圧が上昇し、また左房圧も急激に上昇、その結果急速に肺水腫、心原性ショック、拡張期血圧低下の結果、冠動脈灌流血流量が低下し、心筋虚血が生じる。➡緊急で循環動態の管理を行い、早期の外科手術を検討する。慢性大動脈弁閉鎖不全の進行と対応● 高度大動脈弁逆流があっても、徐々に左室拡大を来すことで代償し、左室充満圧を軽度の上昇に英略語・単語大動脈弁閉鎖不全症(AR)の原因は、その構造から考えると大きく2つに分かれる。❶ 大動脈弁尖の変化によるもの:先天性(2尖弁)や、リウマチ性、動脈硬化、感染性心内膜炎など。❷ 大動脈基部の拡大によるもの:Mマルファンarfan症候群、上行大動脈瘤、大動脈弁輪(弁の付け根)拡大など。また、Sスタンフォードtanford A型大動脈解離で、解離が大動脈弁輪部まで及んだ場合にも大動脈弁閉鎖不全症(AR)が生じる。●❶大動脈弁尖の変化●❷大動脈基部の拡大以下の2つが重要=大動脈弁とその周辺の 大動脈のこと大動脈基部3枚の弁でできている弁尖大動脈弁閉鎖不全症(AR)の原因と関連する部位LVDs: left ventricular end-systolic diameter(dimension) 左室収縮末(終)期径LVDd: left ventricular end-diastolic diameter(dimension) 左室拡張末(終)期径AVR: aortic valve replacement 大動脈弁置換術5章 不整脈226病態生理脚ブロックとはどんな状態か?● 左脚・右脚で伝導障害が起こり、刺激がスムーズに心室全体に行きわたらない状態。● ブロックされていない側の刺激はそのまま心室筋に伝えられるので、そこから逆側の心室筋へと刺激が伝わっていく(その分、刺激伝導系が正常にはたらいているときより、伝導に時間がかかる)。右脚ブロックなら…あ、連絡来たあ、そうなの?押すみたい押そう押すみたいだよ?押して!押したよーもしもーしV1ですOK、下も押してー!??V6です幅広のS波幅広のQRS左心室近づいた遠のいた近づいた左心室遠のいたゆっくり遠のいていったあ、そうなの?押すみたい押すみたいだよ?V1から見るとV6から見るとゆっくり近づいてきたあ、そうなの?押すみたいだよ?押すみたいあ、連絡来た押そうハイハーイ押そう 2395章 不整脈不整脈症例先生、頻脈の患者さんの搬送です。50代の男性で、心機能低下で来週紹介受診予定の患者さんです。心機能低下で、頻脈。それはまずいな。一応、ICUまで連絡して準備しておこうか。ICUですか、そんなに重症ってわかるのですか?左室収縮機能が低下している患者さんの頻脈は危険だよ。エーエフ(AF)としても、心房収縮機能が低下したり、頻脈で拡張時間が短縮すると、すぐに心不全になるからね。最悪、到着したら脈ありブイティー(VT)なんてこともあるから、気を引き締めないとね。Cさん、何を準備しておきますか?モニター、点滴ですね。あとは酸素投与や除細動器も近くに持ってきておきます。そうだね。状態が悪い患者さんの初期対応はO2-IV-モニターだね。後はVTの場合で血行動態が不安定であったら、除細動器でのDCショックも必要。さすが。ほかに何か準備できるかな?あとは心エコーと……。先生、紹介状のFAXに心電図がありましたので、持ってきました。さすが、Bさん。不整脈に限らず、検査結果や心電図は前回と比較することが重要だよね。じゃあ、次の救急隊のコールがあったらバイタルとあわせて、モニター心電図のRR間隔がレギュラーかイレギュラーを確認しておこう。これだけでもAFかどうかの予想がつくからね。よし、がんばろうか。 50代、男性。頻脈性心房細動。 救急隊からのセカンドコールで、RR間隔がイレギュラーであると確認。搬送時はHR 120~140回/分程度の頻脈性心房細動であった。紹介の心電図は洞調律であり、発作性心房細動が考えられた。胸部X線で肺うっ血・心エコーでも左室収縮不全を認めて、ICUへ入室。 初期治療として、フロセミド投与とランジオロールでの脈拍調整・ヘパリンでの抗凝固療法が開始された。心不全改善後も、軽度の左室収縮不全があり冠動脈造影が予定され、一般病床でリハビリを行っている。最終処方ビソプロロール2.5mg、エナラプリル2.5mg、リバーロキサバン15mg、アゾセミド30mg、エプレレノン25mg 分1(処方のポイント心房細動では、腎機能がよければDOACが開始される。頻脈性心房細動にはビソプロロールが頻用される。心不全があるため利尿薬が追加され、心保護薬としてエナラプリルが追加される)熟練ナースBドクターA新人ナースCドクターA新人ナースCドクターA新人ナースC熟練ナースBドクターA症例経過新人ナースCドクターA熟練ナースBとある病院*の現場でのリアルな会話を聞いてみましょう!どのくらい理解できるでしょうか?わからないことがあったら、もう一度戻って勉強しましょう。 *“2.5次”救急規模理解を深める!3臨床現場でのリアルな会話例を収録、理解できない流れや言葉があれば、その章を復習しよう!イラストと赤字を眺めるだけでも重要ポイントが身につく! の行動を「なぜ行うのか」「行ったらどうなるか」を理解するための知識も解説、後輩指導にも使える➡2v

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