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7ハートナーシング別冊不安定狭心症では急性心筋梗塞に移行させないこと、急性心筋梗塞では心筋壊死を最小限にとどめることと、重篤は合併症の予防・早期発見することが大切です。そのため厳重な経過観察・モニタリングが必要です。ケアにつながるアドバイス図2 ACSの発症のイメージ図性心疾患ですが、原因となる病態がまったく異なります。代表的な症状は、30分以上持続する胸痛(広く放散することが多い)、冷汗、嘔気、嘔吐、呼吸困難感などです。しかし、高齢者や糖尿病患者さんなどでは明らかな訴えがない場合もあります。診断方法は、症状経過、心電図、採血による心筋マーカーの推移などで、総合的に判断します。主な治療法は血小板薬、硝酸薬、抗凝固薬などの薬物療法、カテーテル治療、冠動脈バイパス術(coronary artery bypass grafting;CABG)などがあります。ST上昇型心筋梗塞では、できるかぎり速やかに経皮的冠動脈インターベンション(PCI)などによる再灌流療法を行うことが、予後の改善につながります。非ST上昇型ACSでは、必ずしも早期のPCIが予後を改善するわけではなく、病歴・身体所見・心電図変化・血液検査などを考慮して、早期再灌流療法を行うか、薬物療法を行った後にカテーテルを行うか判断します。ACSでは、致死性不整脈・心不全・心破裂の重篤な合併症を生じることがあり、迅速な対応がきわめて大切です。現在の考え以前は動脈硬化により冠動脈が徐々に狭くなり、最終的に閉塞し心筋梗塞を発症すると考えられていたACSはプラークの破綻とそれに続く血栓形成により引き起こされる正常血管動脈硬化血栓→閉塞血栓→亜閉塞ST上昇型ACS非ST上昇型ACS労作性狭心症101急性冠症候群(ACS)ナースが押さえておきたい循環器の疾患 重要キーワード

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