8ハートナーシング別冊図3 心筋梗塞の病態急性心筋梗塞(acute myocardial infarction;AMI)は冠動脈の粥腫(プラーク)の破綻と、それによって生じる血栓形成が原因となり心筋を栄養している冠動脈が急激に閉塞する病態です(図3)。狭心症とは異なり冠動脈が完全に閉塞するため、心筋の虚血壊死が起こり、ポンプ機能が維持できない状態となります。冠動脈は右冠動脈、左冠動脈前下行枝、左冠動脈回旋枝と大きく3本に分かれ、閉塞部が基部に近いほど壊死範囲が大きくなり病状は深刻となります。筋層範囲により、貫壁性梗塞:心筋虚血の程度が強く、梗塞が心筋の全層に及ぶ梗塞と、心内膜下梗塞:心筋の最内層(心内膜下層)のみの梗塞に分類されます。症状は狭心症と類似しますが、胸痛は15分以上持続し冷汗を伴い広く放散することが多く、重症になればショック徴候がみられます(表1)。壊死部心筋の破裂により心タンポナーデや心室中隔穿孔、乳頭筋断裂による僧帽弁閉冠動脈の完全閉塞によりその支配領域の心筋が虚血を起こし、壊死に陥った状態です。再灌流までの時間が予後を左右し、残存心筋を救い合併症を減少させるには、早期診断と早期治療が重要です。02ひとこと解説KEYWORD急性心筋梗塞(AMI)血栓心筋壊死
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