9ハートナーシング別冊心筋梗塞が疑われるときはまず安静臥床とし、除痛・酸素投与・適切な薬物投与を行います。また3大合併症とされる心不全、不整脈、梗塞後狭心症に注意が必要となります。また、心臓リハビリテーションへの介入も大切です。ケアにつながるアドバイス表1 心筋梗塞の合併症鎖不全症などの重篤な合併症を生じる場合があります(表1)。心筋梗塞の死亡率は6〜9%と高く、多くは不整脈や広範囲の心筋虚血での突然死です。血液検査ではCK(クレアチンキナーゼ)、CK-MB(クレアチンキナーゼMB分画)、GOT(グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ)、LDH(乳酸脱水素酵素)、H-FABP(ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白)、トロポニンTなどの心筋由来のマーカーの上昇がみられ、心電図では多くの場合ST上昇・異常Q波がみられます。壊死から救うことができる心筋の範囲は、発症から血行再建などの治療完了時間に依存するため、迅速な対応が重要です。鑑別すべき疾患として、胸痛や心電図上ST-T変化、トロポニン上昇を伴う、たこつぼ型心筋症、心筋炎、心膜炎、肺血栓塞栓症、大動脈解離などがあります。早期合併症不整脈虚血に伴う不整脈・心筋梗塞発症後2~3日以内に発症しやすい・心室期外収縮が最も多く、心室頻拍、心室細動に移行する危険性が高いため注意する・右冠動脈が詰まれば洞徐脈、房室ブロックが生じることがある再灌流性不整脈・心室期外収縮や促進性心室固有調律ポンプ失調・心不全、心原性ショック心破裂自由壁破裂・1週間以内に発症しやすい(特に24時間以内は要注意)・心破裂により心タンポナーデ、ショック状態に陥り、突然死することもある心室中隔穿孔・1~2週間以内に発症しやすい・急性左心不全からショック状態に陥ることもある乳頭筋機能不全症候群・僧帽弁閉鎖不全症から急性左心不全に陥る急性心筋炎・数日以内に発症しやすい後期合併症心室瘤・ひ薄化した心室壁は奇異性運動を呈し、心拍出量低下から心不全に陥る・電気的興奮も生じやすくなり、不整脈を引き起こす・血流停滞により血栓形成を生じやすくなる心筋梗塞後症候群・発症後2~8週間の間に心膜炎、胸膜炎を生じることがある102急性心筋梗塞(AMI)ナースが押さえておきたい循環器の疾患 重要キーワード
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