不整脈による心不全 不整脈が起きることでも心臓のポンプ機能が低下することがあります。心房細動や心房頻拍などの心房性の不整脈は、それ自体も心臓のポンプ機能を低下させますが、頻脈が持続すると心筋の収縮が低下し、頻脈誘発性心筋症という状態となることもあります。また、完全房室ブロックや洞不全症候群などの徐脈性不整脈でも心臓のポンプ機能が低下するため、ペースメーカが必要となることがあります。心室頻拍は急激に心臓のポンプ機能が低下し、心室レートが速い場合には、血行動態が破綻する危険性があるため速やかな治療が必要です。高心拍出心不全 重症の貧血や甲状腺機能亢進症、動静脈シャントなどは心臓のポンプ機能は正常でも、体液量過剰や血液の分布異常などで心不全をきたすことがあります。妊娠やビタミンB1欠乏により起こる脚気心でも同様に高心拍出心不全の原因となります。これらの疾患については、原疾患の治療により心不全を改善することができます。 心不全の基礎疾患はこれ以外にもありますが、高心拍出心不全以外のほとんどの疾患で心臓のポンプ機能が低下しています。つまり、心不全はさまざまな基礎疾患の終末像といえます(図3)。 次に心臓のポンプとしての機能について解説します。図2心臓弁の解剖大動脈大動脈肺動脈肺動脈左心房左心房右心房右心房右心室右心室三尖弁三尖弁肺動脈弁肺動脈弁大動脈弁大動脈弁僧帽弁僧帽弁左心室左心室 受け持ち患者さんの基礎疾患を把握することで、その患者さんに必要な看護を計画しましょう。10
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