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1心不全とはどんな病気? 日本循環器学会と日本心不全学会から発表された「急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)」には、心不全の定義について「ガイドラインとしての定義」と「一般向けの定義(わかりやすく表現したもの)」が記載されています1)。一般向けには、「心不全とは、心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です」と定義されています。つまり心不全とは、①心臓のポンプとしての機能が低下する原因があり、②息切れやむくみなどのさまざまな症状が出現し、③進行性で予後が悪い病気であるということが読みとれます。 また、この定義が作成された経緯として、心不全は予後不良の疾患であるという事実とその怖さ(たとえば、完治しないなど)についてあまり知られておらず、わかりやすく理解してもらうことが意図されています。2心不全の原因となる疾患 心臓はいろいろな原因でポンプとしての正常な機能を発揮できなくなりますが、心不全の定義ではこれらを総称して「心臓が悪いため」と表現されています。心臓のポンプ機能を低下させる原因のことを基礎疾患といい、多くの疾患があります1)。目の前の患者さんの心不全の状態を把握するためには、まずはこの基礎疾患を知ることが必要です。以下に代表的な基礎疾患について概説します。心臓の筋肉(心筋)の異常による心不全 左心室の収縮能が低下して拡張する拡張型心筋症や心室の壁が肥大する肥大型心筋症などの心筋症(図1)、冠動脈閉塞により心筋梗塞を起こした心筋が壊死することによる虚血性心筋症、長年の高血圧により左心室が肥大する高血圧性心臓病、ウイルスなどにより心筋に炎そもそも心不全とは?1 心不全の定義が一般向けにわかりやすく改訂されました。心不全が進行性で予後が悪い病気ということを患者さんに知ってもらうことが大切です。病態・症状についてのキホン第Ⅰ章8

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