推薦の言葉 目覚ましい診療手段の進歩の中で、心臓病の診療は心臓カテーテル室が中心となったといって過言ではありません。今やカテーテルを用いた診断・治療は虚血性心疾患だけでなく、不整脈、弁膜症、先天性心疾患、特発性心筋症、末梢血管疾患などあらゆる心臓血管疾患に及んでいます。基本的に侵襲性が低いことから高齢者やさまざまな合併症をもつ患者さんにも適応が広がる一方です。診療にあたって求められるのは安全性の担保と多様な患者さんへの個別の配慮です。その中で医療従事者にとって必要なことは、正確な知識、手技の習熟、多職種間でのチームプレー、患者さんに寄り添う対応などでしょう。施術する医師からも患者さんからも多様な質問を受けるのが看護師です。看護師は多職種の間をつないで情報共有を行い、患者さんの状態を正確に把握し、患者さんの気持ちを忖度し、カテーテル診療チームの中心となります。外来・術前・術中・術後・退院指導などカテーテル診療のすべてにかかわる職種でもあります。状況に応じてさまざまな患者支援、診療支援をすることが求められます。その中で必要なのは最新の治療について正しい知識を持ち、患者さんからの質問も医師や技術者への対応も適切にこなせる能力です。 本書は循環器専門の榊原記念病院で、日々カテーテル診療に携わっている医師、看護師が中心となってまとめた心臓カテーテル看護の解説書です。新人や異動後の看護師を主な対象としてわかりやすくまとめられたものですが、ベテランの方にも最新の知識の整理に十分ご利用いただけると思います。またカテ室勤務だけでなく、病棟・外来でカテーテル診療を受ける患者さんの看護に携わる看護師の皆さんにもご活用いただけるような内容となっています。 本書をご利用いただくことで、患者さんが満足のいくカテーテル診療を受けられるための看護の一助となればこれにすぐる喜びはありません。2020年12月吉日榊原記念病院院長磯部光章
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