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第1章3はじめてのICU看護はじめに 消化器外科疾患は,良性疾患から悪性疾患まで多岐にわたり,予後や治療に大きな違いがあります.また,治療も手術療法,抗がん剤治療,放射線治療と多くの知識や技術が必要とされる領域です.専門的な知識に裏付けられた観察と技術,精神面への支援と,看護師にも求められることが多々あります.消化器外科病棟の看護師は,病態生理を理解し観察を行い,何が起こっているのかをアセスメントし,異常の早期発見と苦痛をはじめとした症状緩和を行うとともに,臥床による弊害を少しでも軽減できるように早期離床のための援助も行っています. 手術手技の進歩に伴い,高齢者の手術が可能になったことや地域完結型医療へのシフトといった社会の動きのなかで,急性期病院で求められている看護も大きく変化しています.患者さんの背景を十分に理解し,入院早期から退院を目指した看護が必要になっています.看護師だけではなく,医師をはじめとした薬剤師,理学療法士,医療ソーシャルワーカーといった各種専門職と連携・調整を行うチーム医療が重要になっており,看護師には交渉・調整する能力も求められるようになってきています. 本書では,消化器外科疾患をもつ患者さんの入院から退院までの看護について,病態生理を踏まえ,術前・術後管理,部位別の疾患・治療・看護,外科領域で最も重要なドレーン管理,退院指導,がん治療,特徴的な薬剤について,日々,病棟看護師が行っている看護を中心に,写真やイラストをたくさん用いて紹介しています.消化器外科看護をはじめて学ぶ学生さんや外科病棟に配属されたばかりの看護師さんに活用していただければ幸いです. 2017年2月独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院看護部長 木谷 恵

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