T190250
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手術症例の経過が悪かったり、再手術になったりすると、皆おおいに盛り上がるものです。「ああいう手技がいかんのかねー?」とか「俺だったら、あんなふうにならないけどね」といった根拠のない自信家の発言も含め、とにかく他人の手術の失敗談があれば、ご飯3杯くらい食べられちゃいます。……話がそれました。とにかく、私は外科医になってからこれまで、「わかりやすい」と思ったドレーンの本を読んだことがありませんでした。ですから若い時(今も?) わからないことだらけでしたが、先輩医師や年配の(?)看護師さん、レントゲン技師さん、放射線科の先生など、さまざまな方々に教えを乞いました。本書に書いた内容は、これまで勤務した五つの病院でそのようにして経験・勉強したことを自分なりに解釈したものです。はっきり言います。多少は間違っている可能性も否定はできません。しかし、わかりやすいという点では自信があります。本書はあらゆる点で未熟かつ未完成かもしれませんが、読んでくれた皆さんが新しい「ドレーン道」「瘻孔学」を開拓してくださることで、これまであまり日の当たらなかったこの業界が大きく進歩し、患者さんの回復が一日でも早くなることを、心より願っています。夏目誠治
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