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適正なストーマ装具の選択は、患者のQOLはもちろん患者の人生そのものに大きな影響を与えます。そのため、私たち看護師には、ストーマ装具個々の特徴を十分に理解したうえで、ストーマの局所条件や排泄物の性状、患者のセルフケア能力、経済性、好みなどの患者側の条件を瞬時にアセスメントし、患者に最も適切なストーマ装具を選択することが求められています。しかし、現実には、近年のストーマ装具の増加、多様化に伴い、ストーマ装具選択は非常に困難な状況にあります。また、ストーマの局所条件や患者条件に合わせた具体的な装具分類やツールが示されていなかったために、ストーマ装具選択は、長い間、看護師個々が持つ知識や経験に委ねられてきました。2005年大村は、これらの問題を打破すべく、「ストーマ装具選択基準検討委員会」を立ち上げ、2008年に「ストーマ装具選択基準」1、4、5)を完成させました。この選択基準は、ストーマの局所条件を評価する「ストーマ・フィジカルアセスメントツール」2、4、5)と、「ストーマ装具選択に必要な装具分類」3、4、5)を基本構造とし、これらをもとにエキスパートが装具選択を行った121例のストーマケアの分析・結果から「ストーマ装具選択基準」を作成しました。詳細や使用方法については、参考文献を参照してください。ストーマに装着する装具6)と定義され、基本的には面板とストーマ袋から構成されます。その分類にあたっては、ストーマの種類、固定法、形態、素材、管理時期などさまざまな分類がなされてきましたが、これまでストーマ装具選択のための装具分類の報告はありませんでした。そのような意味からも、今回作成したこの「ストーマ装具選択に必要な装具分類」3、4、5)は、非常に画期的な分類であり、臨床での活用が大きく期待されるものです。装具分類にあたっては、ストーマ装具選択に必要なストーマ装具因子を抽出後、構造面よりシステム、面板、面板機能補助具、フランジ、ストーマ袋の5項目に分類し、国内で入手可能な膨大なストーマ装具を対象に、カタログ、製品の実測、目視より構造面・機能面の調査を行いました。この調査結果にエキスパートオピニオンを加え、「粘着性ストーマ装具の分類」3、4、5)(表1) を作成しました。ストーマ装具選択に必要な装具分類について熊谷英子(くまがい・えいこ)むらた日帰り外科手術・WOCクリニック 統括看護部長/皮膚・排泄ケア認定看護師総 論A81章 キー装具から知ろう!ストーマ装具選択のための特徴はやわかり!
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