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13Case何を最初にすればよいのか優先順位がつけられない遂行機能障害 40歳代男性、Mさん。交通事故による頭部外傷を受傷し入院となった。脳画像から、前頭葉にびまん性軸索損傷を疑われる所見が認められた。意識障害は1週間ほどで改善し、運動麻痺はなく、ADLも自立していた。高次脳機能障害の評価では、知的機能は保たれていたが、注意障害、情報処理速度の低下、遂行機能障害が認められた(表1)。まず、リハビリでは注意機能の訓練を行い、並行して生活関連動作の評価・訓練を実施した。当初、院内生活において、病室にこもることが多い、おとなしいなどの発動性(自発性)の低下が指摘されていたが、とくに生活に支障が出るほどの問題ではなかった。しかし、院内の移動がフリーとなり、Mさん自身で活動することが増えたころから、リハビリや検査の時間になってもほかのことをしている、用事があることはわかっているが約束の時間を守れない、という問題が出現した。患者紹介1324あ… 2時…2時からリハビリですよはいMさん!リハビリに遅れますよ!13Case何を最初にすればよいのか優先順位がつけられない遂行機能障害 40歳代男性、Mさん。交通事故による頭部外傷を受傷し入院となった。脳画像から、前頭葉にびまん性軸索損傷を疑われる所見が認められた。意識障害は1週間ほどで改善し、運動麻痺はなく、ADLも自立していた。高次脳機能障害の評価では、知的機能は保たれていたが、注意障害、情報処理速度の低下、遂行機能障害が認められた(表1)。まず、リハビリでは注意機能の訓練を行い、並行して生活関連動作の評価・訓練を実施した。当初、院内生活において、病室にこもることが多い、おとなしいなどの発動性(自発性)の低下が指摘されていたが、とくに生活に支障が出るほどの問題ではなかった。しかし、院内の移動がフリーとなり、Mさん自身で活動することが増えたころから、リハビリや検査の時間になってもほかのことをしている、用事があることはわかっているが約束の時間を守れない、という問題が出現した。患者紹介1324あ… 2時…2時からリハビリですよはいMさん!リハビリに遅れますよ!食器に手を付けていない側空間無視(+注意障害)26別冊男性、Cさん。20歳代後半に脳挫傷を受傷。受傷当時、意識障害を認め、頭部CTにて右部の脳出血と、右急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下血腫を認めた。ボーッとしていて作業きない(全般性の注意障害)、新しいことが覚えられない(記銘力障害)、他人に言われな中パジャマを着ている(発動性低下)という症状のほかに、食事に際して左側に置かれた身に手をつけない(左半側空間無視)などの症状が顕著であった。復職希望もあり、受傷約から外来での認知リハビリを開始した。開始当初から、左上下肢の不全麻痺を認めたが、日動作は自立していた。左半側空間無視、記憶障害、注意障害に対する個別訓練、対人技能や応能力の向上を目的とした遂行機能グループ訓練を中心に実施した。開始当初は身体的にも的にも疲労しやすく、居眠りがみられるなど、長時間の訓練は困難であった。現在は日によっ干のムラはみられるものの、約1時間集中して訓練に取り組むことが可能となっている。患者紹介1324ごちそうさまでしたまた左の方が…あら?あぁ、はい…Cさん、左側にもお皿がありますよ食器に手を付けていない側空間無視(+注意障害)26別冊男性、Cさん。20歳代後半に脳挫傷を受傷。受傷当時、意識障害を認め、頭部CTにて右部の脳出血と、右急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下血腫を認めた。ボーッとしていて作業きない(全般性の注意障害)、新しいことが覚えられない(記銘力障害)、他人に言われな中パジャマを着ている(発動性低下)という症状のほかに、食事に際して左側に置かれた身に手をつけない(左半側空間無視)などの症状が顕著であった。復職希望もあり、受傷約から外来での認知リハビリを開始した。開始当初から、左上下肢の不全麻痺を認めたが、日動作は自立していた。左半側空間無視、記憶障害、注意障害に対する個別訓練、対人技能や応能力の向上を目的とした遂行機能グループ訓練を中心に実施した。開始当初は身体的にも的にも疲労しやすく、居眠りがみられるなど、長時間の訓練は困難であった。現在は日によっ干のムラはみられるものの、約1時間集中して訓練に取り組むことが可能となっている。患者紹介1324ごちそうさまでしたまた左の方が…あら?あぁ、はい…Cさん、左側にもお皿がありますよ食器に手を付けていない側空間無視(+注意障害)26別冊男性、Cさん。20歳代後半に脳挫傷を受傷。受傷当時、意識障害を認め、頭部CTにて右部の脳出血と、右急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下血腫を認めた。ボーッとしていて作業きない(全般性の注意障害)、新しいことが覚えられない(記銘力障害)、他人に言われな中パジャマを着ている(発動性低下)という症状のほかに、食事に際して左側に置かれた身に手をつけない(左半側空間無視)などの症状が顕著であった。復職希望もあり、受傷約から外来での認知リハビリを開始した。開始当初から、左上下肢の不全麻痺を認めたが、日動作は自立していた。左半側空間無視、記憶障害、注意障害に対する個別訓練、対人技能や応能力の向上を目的とした遂行機能グループ訓練を中心に実施した。開始当初は身体的にも的にも疲労しやすく、居眠りがみられるなど、長時間の訓練は困難であった。現在は日によっ干のムラはみられるものの、約1時間集中して訓練に取り組むことが可能となっている。患者紹介1324ごちそうさまでしたまた左の方が…あら?あぁ、はい…Cさん、左側にもお皿がありますよ食器に手を付けていない側空間無視(+注意障害)26別冊男性、Cさん。20歳代後半に脳挫傷を受傷。受傷当時、意識障害を認め、頭部CTにて右部の脳出血と、右急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下血腫を認めた。ボーッとしていて作業きない(全般性の注意障害)、新しいことが覚えられない(記銘力障害)、他人に言われな中パジャマを着ている(発動性低下)という症状のほかに、食事に際して左側に置かれた身に手をつけない(左半側空間無視)などの症状が顕著であった。復職希望もあり、受傷約から外来での認知リハビリを開始した。開始当初から、左上下肢の不全麻痺を認めたが、日動作は自立していた。左半側空間無視、記憶障害、注意障害に対する個別訓練、対人技能や応能力の向上を目的とした遂行機能グループ訓練を中心に実施した。開始当初は身体的にも的にも疲労しやすく、居眠りがみられるなど、長時間の訓練は困難であった。現在は日によっ干のムラはみられるものの、約1時間集中して訓練に取り組むことが可能となっている。患者紹介1324ごちそうさまでしたまた左の方が…あら?あぁ、はい…Cさん、左側にもお皿がありますよ食器に手を付けていない側空間無視(+注意障害)26別冊男性、Cさん。20歳代後半に脳挫傷を受傷。受傷当時、意識障害を認め、頭部CTにて右部の脳出血と、右急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下血腫を認めた。ボーッとしていて作業きない(全般性の注意障害)、新しいことが覚えられない(記銘力障害)、他人に言われな中パジャマを着ている(発動性低下)という症状のほかに、食事に際して左側に置かれた身に手をつけない(左半側空間無視)などの症状が顕著であった。復職希望もあり、受傷約から外来での認知リハビリを開始した。開始当初から、左上下肢の不全麻痺を認めたが、日動作は自立していた。左半側空間無視、記憶障害、注意障害に対する個別訓練、対人技能や応能力の向上を目的とした遂行機能グループ訓練を中心に実施した。開始当初は身体的にも的にも疲労しやすく、居眠りがみられるなど、長時間の訓練は困難であった。現在は日によっ干のムラはみられるものの、約1時間集中して訓練に取り組むことが可能となっている。患者紹介1324ごちそうさまでしたまた左の方が…あら?あぁ、はい…Cさん、左側にもお皿がありますよなぜ、患者さんはこんな行動をとるの?どう対応するの?患者さんの行動から理解する患者さん患者さん患者さん患者さん患者さんの行動行動行動からから理解理解理解するする高次脳機能障害リハビリナース、PT、OT、STのための改訂2版椿原彰夫種村 純種村留美川崎医療福祉大学学長川崎医療福祉大学副学長/医療技術学部感覚矯正学科特任教授神戸大学生命・医学系保健学域教授監修編集

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