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2 神経内科は脳・脊髄・末梢神経・筋肉の器質的な病気を内科的に治療する診療科である.これらを外科的に治療するのが脳神経外科・整形外科であり,器質的ではなく機能的な病気を治療するのが精神科・心療内科である.歴史的な経緯から神経科という名称が使用される場合もある.また発音が似ており心療内科と神経内科が混同される場合があるため,最近では脳神経内科と標榜する病院が増加している. 診療に際しては,患者の症状およびその発症様式(突発性・急性・亜急性・慢性)や経過(不変・階段状悪化・寛解増悪・緩徐改善・緩徐進行)を詳細に聴取することから始める.また患者の訴えをうのみにするのではなく,疾患を想定しながら特異的な症状の有無やそのほかの情報について,こちらから本人・家族に確認することも必要である.アルコールの摂取量など患者に不都合な情報については,正直に申告されるとは限らない.また物忘れの診療に際しては本人の自覚がないことが多く,家族からの日常生活状況の情報が必須である.さらに既往歴・服薬内容や,血族結婚の有無を含めた家族歴の聴取が必要である.これにより診断のきっかけになったり,遺伝性の疾患が想定されることがあり得る. 次に一般内科的診察および神経学的診察を行い,病巣部位を推定する.検査手技の発達していなかった時代には,ここまでの診断に基づいて治療が行われていた.また,クリニックレベルでもここまでは診断を進めることは可能である. その後,推定された病巣・疾患が正しいのか確認するために必要な臨床検査を行い,原因疾患の診断・治療へと結びつける.神経系はそれぞれの部位にそれぞれの機能が局在する特徴を有しており,病変の種類や部位の推測が問診および診察から可能となる. このような手順を踏んで診療を行うため,初診患者1人あたりの診療神経内科とは1神経内科A診断・治療までの手順1神経内科で扱う疾患

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