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31神経内科疾患を理解する1神経内科で扱う疾患時間は少なくとも30分は必要となる.いわば最も「内科的」な要素を残している診療科である.わかりにくい・手間がかかる・とっつきにくいといったことから敬遠する医療関係者もいるが,基本的な診察方法をマスターして神経診察を行えば対応可能であり,手先の器用さにはあまり左右されない領域とも言える. なお,神経救急疾患(脳卒中,髄膜炎・脳炎,てんかん発作など)では意識障害・言語障害などをきたす場合も多い.バイタルサインを確認し,気道確保や循環系のコントロールを行いながら,迅速な問診(本人または家人などの目撃者からの聴取など)・診察(一般内科的所見と神経学的所見など)からCT・MRI・脳波・超音波などの検査を行ったうえで,一刻も早い診断と治療の開始が求められる. 日本神経学会が神経内科の臨床系医学会であり,会員数は全国で約8,300名(日本内科学会の会員数の約8%),専門医は5,100名を数える.専門医の分布はばらつきが大きく,2014年春の時点で山梨・和歌山・香川・高知・愛媛・佐賀・宮崎・沖縄の各県は専門医が20人台と少ない.このような地域では,本来であれば神経内科医が担うべき診療を一般内科・精神神経科・脳神経外科・整形外科などの関連診療科の医師の活躍によって,かろうじて維持されているものと思われる.したがって,地域によってはいわゆる総合病院であっても神経内科の存在しない病院がみられるのが現状である. 診療体制としては,大都市では神経内科医も比較的存在しているため,初期診断の後そのまま診療を継続することが可能である.しかし医療資源の不足している地域では,神経内科のある総合病院で診断や治療方針が決定された後に,かかりつけ医が診療を継続する場合も多い. 入院患者について見てみると,神経内科においてもチーム医療が重要である.リハビリテーション(リハビリテーション医・理学療法士・作B救急患者への対応神経救急疾患神経内科の状況2A専門医の現状日本神経学会Bチーム医療の重要性チーム医療

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