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11Chapter 11 骨盤底の解剖1骨は硬いので支持構造としては最も強いと言えます。しかし、すべてが骨で覆われてしまうと下肢へ向かう血管・神経・筋肉の通り道がなくなってしまいます。また、骨盤臓器である膀胱・子宮・直腸の共通した重要な機能は、蓄積と排泄であり、蓄積する時間や排泄するものは異なりますがいずれにしろ出口が必要です。骨盤骨とは仙骨・尾骨・寛骨(腸骨、恥骨、坐骨)を指します。女性の骨盤は男性と比べて左右に広く、中央の孔は丸くなっています。【図2】に骨と骨をつなぐ主な靱帯を記しました。腰椎は骨盤骨ではありませんが、各椎体をつなぐ前縦靱帯は仙骨まで連続しています。この前縦靱帯は腹腔鏡下仙骨腟固定術でメッシュを固定するために使われます。腰椎は頭尾側に隙間があり、クッションとして椎間板が存在しますが、仙骨・尾骨には椎間板がなく年齢とともに癒合し可動性がほぼありません。 仙骨の左右には最も大きい腸骨、腹側の恥骨、背側の坐骨があり、3つを併せて寛骨と呼びます。寛骨は広くゆったりとした骨という意味で、16歳ごろ以降に3つの骨は完全に融合し1つの寛骨となります。側方には寛骨臼という窪みがあり大腿骨頭がはまるようになっています。 骨盤骨をつなぐ大きな靱帯として仙結節靱帯があり、坐骨結節と仙骨・尾骨をつなぎます。その腹側にはクロスして坐骨棘と仙骨・尾骨をつなぐ仙棘靱帯があります。この2つの靱帯により骨の間に隙間がつくられます(【図2-b】)。骨2【図2】骨と骨をつなぐ靱帯a 腹側正面、b 側面、c 尾側面坐骨棘前縦靱帯仙骨(椎体骨)腸骨坐骨寛骨仙棘靱帯仙結節靱帯大坐骨孔小坐骨孔仙棘靱帯仙結節靱帯閉鎖孔閉鎖孔恥骨abc

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