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3推薦のことば推薦のことば 女性骨盤底機能障害は、骨盤臓器脱に加えてさまざまな下部尿路機能障害を引き起こし、その病因には女性に特有なイベントである妊娠・出産が深くかかわり、また加齢によるさまざまな機能的・構造的変化も関与します。女性骨盤底の機能的あるいは構造的な異常は、骨盤臓器脱、腹圧性尿失禁、骨盤痛症候群(間質性膀胱炎)、過活動膀胱、低活動膀胱、便失禁などの多彩な病態により、QOLを著しく障害する症候を引き起こします。また、これらの症候の罹患率は加齢とともに急速に増加することから、超高齢社会を迎え、健康長寿を目指すわが国において、ますます重要な疾患として注目されています。 骨盤底機能障害に関与する女性泌尿器科疾患の診療においては、泌尿器科医あるいは婦人科医が中心的役割を担うものの、病因の一端には生活習慣の問題が関与し、また治療においても薬物治療や外科的治療などの医学的治療以外に、生活指導や理学療法などの行動療法も重要となります。また、治療効果の持続、患者満足度の向上、QOL改善のためには十分なケアの提供が必要です。 本書は、女性骨盤底の解剖・機能に関する基礎的事項から腹圧性尿失禁、過活動膀胱、骨盤臓器脱、低活動膀胱、下部尿路閉塞、間質性膀胱炎、泌尿生殖器瘻孔、女性性機能障害などの骨盤底機能障害に関連した女性泌尿器科疾患の診断・治療、さらには骨盤底筋訓練(バイオフィードバック)、生活指導を含む行動療法やペッサリー治療についても、図表を駆使して、わかりやく、簡潔に解説されています。また、アセスメントやケアの実際についても、十分なページ数を割いて、重要なポイントが網羅されています。医師のみならず、看護師、理学療法士などに役立つ情報が満載で、まさにメディカ出版の面目躍如といったところでしょうか。 巻末にいくつかのessayが収録されていますが、女性泌尿器科疾患の診療に深くかかわっておられる医師・看護師の極意、思い、本音が書かれていますので、ぜひご一読ください。 泌尿器科医・婦人科医のみならず、女性泌尿器科疾患の診療チームにかかわるメディカルスタッフにとっても必読の書として本書を推薦いたします。名古屋大学大学院医学系研究科泌尿器科学教授後藤百万

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