第1章 腎・泌尿器・生殖器の解剖生理泌尿器科における疾患・手術の理解、周術期の管理を適切に行うためには、解剖生理の理解が必要です。本稿では、腎・泌尿器・生殖器における解剖生理について説明します。腎臓は副腎とともに腎筋膜(ジェロタ筋膜)に包まれ、脊柱の両脇にある後腹膜臓器です。右側には肝臓があるため、右腎は左腎に比較してやや低位にあります。腎門には腎動静脈と腎盂・尿管が出入りしています。腎動脈は腹部大動脈から分岐し、腎盂と交差する手前で前枝と後枝に分岐します。腎静脈は下大静脈に注ぎますが、下大静脈が右に偏位していることから、左腎静脈は右腎静脈の約3倍の長さを持っています。左腎静脈は大動脈の前をまたいでおり、左副腎静脈や左精巣(あるいは卵巣)静脈が注いでいます(図1)。2腎臓1はじめに図1 腎臓右副腎左副腎右腎左腎左腎動脈左副腎静脈右腎動脈右副腎静脈右腎静脈右精巣(あるいは卵巣)静脈右尿管左腎静脈上腸間膜動脈左精巣(あるいは卵巣)静脈腎盂左尿管解剖生理13
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