T120340
9/12
リハビリナース別冊91基礎知識1脊髄損傷者のリハビリテーション脊髄損傷者のデータベース(全国脊髄損傷データベース)を構築しています。2010年には、1997~2006年度の10年間に登録された3,006例のデータを分析した結果が公表されました。全国脊髄損傷データベースでも原因としてもっとも多いのは交通事故ですが、年齢階層でみると高齢者は交通事故の割合が低くなり、転落・起立歩行時の転倒の割合が高くなっています3)。また、10年間を前半の5年と後半の5年で比較検討し、ここでも高齢化(図2-a)と重度化(対麻痺に比べて四肢麻痺が増加していること)(図2-b)が進行していることを指摘しています3)。生活習慣病の増加 わが国を含めた先進国においては、急性期の初期治療と慢性期における健康管理法の向上により、脊髄損傷者の平均余命は飛躍的に改善しました4)。しかし、それにともなって生活習慣病の増加が大きな問題となっており、依然として健常者に比べて死亡率は高いとされています5)。2≦1516~3031~4546~6061~7576~98≦1516~3031~4546~6061~7576~98b. 四肢麻痺と対麻痺の割合の変化前半(n=1,205)後半(n=1,310)*P < 0.001(%)*100806040200対麻痺四肢麻痺a. 年齢分布の変化年齢(歳)前半5年(人)4003002001000後半5年4003002001000対麻痺四肢麻痺図21997~2006年度における前後半の比較時岡孝光ほか.“治療対象者の現状”.脊髄損傷の治療から社会復帰まで:全国脊髄損傷データベースの分析から.全国脊髄損傷データベース研究会編.東京,保健文化社,2010,9-22.
元のページ
../index.html#9