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11第1章疾疾疾疾疾疾疾1炎症が増強すると、やがて下層にある軟骨や骨まで炎症が浸潤し、軟骨・骨破壊が起こります。そのため、関節裂隙の狭小化が起こっていきます。そして、骨と骨同士が癒合することで関節強直が起こっていきます。こうなると関節が動かなくなり、元に戻らなくなり、機能障害が起こります。病態生理については「第1章2 病態」(p.18)を参照してください。3.関節リウマチの関節症状3)(図24))朝のこわばりは炎症性滑膜炎に関連した症状です。炎症が軽快するとこわばりも消失します。この所見はとくに腫れやすい関節包をもつ表在性の関節で出やすいです。表在性関節の腫れは、手関節や手指関節では中手指節(metacarpophalangeal:MP)関節や近位指節間(proximal interphalan-geal:PIP)関節、肘関節や膝関節にみられることが多いです。例えば、手指のPIP関節に紡錘状腫脹がみられる場合(図2a)、朝のこわばりの存在と持続時間は疾患活動性を評価するうえで重要な指標となります。図3に示すように、X線写真では骨破壊が起こると、で囲った部分の拡大図でわかるように指節間(interphalangeal:IP)関節や手根中手(carpometacarpal:CM)関節に黒く抜けて見えます(図3b、c)。これが関節リウマチの特徴です。発症後1〜2年の間に器質性関節障害が始まります。器質性関節障害の特徴は関節軟骨の消失と骨びらんです。さらに、軟骨・骨破壊以外に関節を支える靭帯の変性、損傷、断裂などが加わり、炎症性変化を加速させます。これらの関節破壊が持続した結図1 関節の構造と関節炎の進展(文献3より改変)骨滑膜関節包関節腔(滑液)軟骨(正常関節)パンヌス形成滑膜腫脹絨毛増殖関節滑液貯留増加軟骨・骨破壊関節裂隙狭小関節強直骨X線像:骨の部分が白く写る。

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