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神崎初美 かんざき・はつみ兵庫医療大学看護学部看護学科療養支援看護学教授関節リウマチ治療は、この10年あまりでめざましく変化してきました。今では関節リウマチは寝たきりになる疾患ではなく治る可能性のある疾患となり、患者さんの未来も明るいものとなってきました。そのようななかで、看護師には、複雑な治療内容を理解し、患者さんの異常の早期発見と安全・安楽の提供、患者さんへの適切な説明、多職種の連携など、さまざまな能力が求められるようになっています。看護師には独自の役割がありますが、質の高い看護実践を目指すうえで、つねに忘れてはいけないことがあると思います。それは患者さんの話に耳を傾けて、じっくり話を「聴く」ということです。関節リウマチは関節疾患です。患者さんの生活状況や希望、人生のなかで大切に思っていることは人それぞれに違いがあります。患者さんの話をよく聴いて、1つでも多くのケアを提案し実現できるようにしていきたいものです。私は研究のなかで、リウマチケアをする看護師に必要な能力(コンピテンシー)尺度を作成し、その要素として、「リウマチケアに特化した知識・技術力」「リウマチ医療を円滑に運ぶ力」「セルフケアを支える力」「心理状態を見極める力」、そして「聴く力」の5要素を抽出しました。そのなかでも「聴く力」を基本として、あとの4つの能力を伸ばしていけるよう学習することが重要です。本書には、これらの5要素が散りばめられています。それぞれの著者の方が大切にしたい内容がぎゅっと詰められた素敵な1冊になったと思っています。本書を企画する際に、看護師をはじめ多くの医療職の方々、患者さんやご家族にも読みやすく理解しやすい、今までにはないような本にしようと思いました。そして、多くの著者がこの志にご賛同くださいました。1人でも多くの人が関節リウマチ治療とそのケアを理解し、患者さんに質の高い適切なケアが行えるよう、ともにがんばりましょう。2017年3月編者のことば
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