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21章 整形外科の総論骨は何からできている? 骨は、細胞と基質からできています。というか、たいていの生体内組織は細胞と基質からできています。基質のことを細胞外基質とよぶこともあります。 骨に関係する3つの細胞を覚えてください。①骨こつ芽が細胞、②破は骨こつ細胞、③骨細胞です。 骨の基質も重要なものを3つだけ覚えてください。①Ⅰ型コラーゲン(タンパクの1つ)、②Ca(カルシウム)、③P(リン)です。CaとPは、リン酸カルシウムの一種であるハイドロキシアパタイト〔Ca10(PO4)6(OH)2〕として骨の中にあります。タンパクは有機化合物で、ハイドロキシアパタイトは無機化合物です。 C(炭素)原子を構造の基本骨格にもつ化合物の総称を有機化合物、炭素を含まない物質が無機化合物ということを、むかし習ったと思います。「生体が産生できる化合物」=「有機化合物」でしたね。タンパクを合成できるというのは、生体である証拠のようなものです。 コラーゲンは、脊椎動物の皮膚、骨、軟骨、靭帯、腱などを構成するタンパクの1つで、細胞外基質の主成分です。整形外科で扱う部位のほとんどの組織にコラーゲンが含まれると思っておけば大丈夫です。さまざまな細胞 骨芽細胞は、間葉系幹細胞が分化した細胞です。幹細胞は2つの能力をもった細胞です。2つの能力とは、①自ら増殖する能力、②さまざまなはたらきをする細胞に分化する能力、を指します。 自ら増殖する能力は、自分のコピーを作る、つまり数を増やせるということです。難しい言葉でいうと自己複製能といいます。また、さまざまなはたらきをする細胞に分化する能力のことを、難しい言葉でいうと多分化能といいます。 間葉系幹細胞とは、間葉系細胞に分化できる能力をもった幹細胞ということです。では、間葉系細胞には具体的にどのようなものがあるでしょうか? 骨・脂肪・筋・軟骨などの、結合組織と筋組織を構成する細胞と覚えておきましょう(最近は、間葉系幹細胞は、神経細胞や肝細胞などにも分化するという報告もあるのですが……)。もっとおおざっぱに言えば、「整形外科が扱う組織の細胞は間葉系組織に属する」と覚えればよいです。骨の名前を覚えよう!①骨芽細胞②破骨細胞③骨細胞3つの骨に関係する細胞①I型コラーゲン②カルシウム③リン3つの骨の基質

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