302080380
3/16

はじめに 本書が読者に想定しているのは、看護師、看護学生、研修医、医学生です。ここで、突然ですが、本書が誕生するまでの経緯を説明します。読みたくないかもしれませんが、読んでください。 2017年7月に、メディカ出版の清水洋平さんから突然連絡がきました。いつも突然です。「看護師さん向けの大型書籍シリーズを刊行します。整形外科編、先生、協力しますよね」という依頼内容です。まぁ、ほとんど脅迫に近い依頼です(笑)。看護師、看護学生、研修医、医学生などを対象に、彼ら彼女らがどのような情報を欲しているのかなどに関して、かなり気合いを入れたヒアリングが行われていました。その結果をもとに整形外科編用の企画書を作り、清水さんは、意気揚々と大阪からはるばる東京までいらっしゃいました。見せていただいた最初の企画書は、網羅性にこだわり整形外科の特徴や意義を捉えておらずダメ出ししました。意気消沈して大阪へ戻った清水さんですが、その後、何度も会議を重ね、整形外科領域の看護師や学生たちの意見もしっかり取り入れた渾身の企画を完成させました。 それでは、本書のキー・コンセプトを発表します!「実践的な最小限の知識が覚えられる!」です。 「なんだ、そのベタなコンセプトは!」ですよね。まぁ、聞いてください。座学で勉強したことは、覚えていないと実際の看護や医療には役立ちません。一方で、はじめて整形外科にかかわる人には、覚えるべき医学・医療知識は膨大なように思えます(事実、膨大なのですが)。百科事典のような、すべてのことが書いてある書籍は、何かを調べるときには有用ですが、ものを覚えるには不向きです。どこがもっとも大切な臨床上のコアな知識なのかは、初めて学ぶ人にはわからないからです。だから、いくら本を読んでも頭に入らないのです。 そこで、本書では膨大な整形外科の守備範囲のなかでも、臨床現場に即したもっとも必要な知識を「覚えられる量」に厳選して掲載しました。といっても、本書の内容をすべて覚えていれば、看護師としてはスーパーですし、研修医としてもかなり優秀だと思います。 疾患解説ページの冒頭には「1分間でコレだけは覚えるコレだけシート」を掲載してあります。これは、ベッドサイドに行く前にとりあえずコレだけ頭に入れておけば、その疾患の概要はつかめて、自信をもって患者さんのもとを訪れることができるものです。コレだけシートに書かれたキーワードやキーセンテンスは、その後のページでより詳しく解説してありますので、これらを糸口にして関連させてより深い内容を覚えていくのがよいと思います。また、試験の前日にはこのシートだけ、ざっと眺めれば合格間違いなしです(責任は持ちません)。 執筆してくださった著者は、気心の知れた私の知人だけです。すべての原稿に目を通しましたが、みなさん本書の企画をしっかりと理解してくれています。自分が医学生や研修医のときに、こんな書籍があったら、どんなに幸せだったと掛け値なしに思います。どうぞ、みなさん本書を読んで、しっかりと覚えてください! そして、整形外科の面白さを堪能してくだい。 2019年8月 渡部 欣忍 iii

元のページ  ../index.html#3

このブックを見る