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 日本褥瘡学会は、褥瘡を「身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下、あるいは停止させる。この状態が一定時間持続されると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる」と定義しています。褥瘡発生要因となる外力 褥瘡発生に関連する主な外力(生体に外部から加わる力)は、圧力、摩擦力、ずれ力です。圧力は垂直方向に押す力であり、摩擦力とずれ力は水平方向の力です。外力に対応して生体の内部に生じる力を「応力」といい、圧縮応力、引っ張り応力、剪断応力などがあります(10ページの図「褥瘡発生に関わる外力」を参照)。剪断応力は力が斜めに加わると発生しやすいため、骨突出部周囲の組織にはより大きな剪断応力が生じます。また、浸軟した皮膚は摩擦係数を上昇させ、剪断応力が大きくなります。 圧縮応力のみの場合と、同じ大きさの圧縮応力に剪断応力が加わった場合では、剪断応力が生じた方が組織の血流障害を引き起こす範囲が増大します。褥瘡発生には圧縮応力に加えて剪断応力が大きく影響し、重症化の要因の一つと考えられています(10ページの図「圧縮応力と剪断応力による褥瘡の形状の違い」を参照)。褥瘡の発生機序 外力により組織が阻血(虚血)状態に陥ると褥瘡が発生します。褥瘡発生の最大の要因は阻血性障害ですが、そのほかにも再灌流障害、リンパ系機能障害、機械的変形が関与していると考えられています(11ページの図「褥瘡発生のメカニズム」を参照)。阻血性障害 皮膚に外力が加わると、毛細血管がつぶれて小さな血栓が生じ、血流が途絶えます。血液が不足すると組織は酸素不足となり、乳酸などの毒性の高い代謝産物が蓄積して組織が酸性に傾きます。また、細胞はグルコースを分解し生命活動に必要なアデノシン三リン酸(ATP)を産生するのですが、血流が遮断されることでグルコースやATPが減少します。そして、組織の酸性化やグルコースとATPの不足などが細胞死を引き起こし、褥瘡となります。再灌流障害 阻血状態によりダメージを受けた組織に血流が再開通すると、蓄積された有害物質が血流に乗って拡散されます。また、阻血状態の組織に対し急速に血液が流れ込むことで活性酸素が過剰となり、組織内で産生されたフリーラジカルや炎症性サイトカインが組織を破壊します。再灌流は、単なる阻血状態と比較してより強い組織損傷を生じさせます。リンパ系機能障害 外力によりリンパ灌流がうっ滞すると、局所に代謝老廃物や酵素が蓄積されて組織の壊死につながります。機械的変形 個体をより良い状態に保つために細胞自体に組み込まれた細胞の死をアポトーシスと言12

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