はじめに「先生、黒い目薬がなくなりそうだからほしいんですけど…」この本の企画は患者さんのこの言葉から始まりました。(黒い目薬って? そんな色の目薬は処方してないと思うけど…)「これです、これ」見せてくれたのは“黒い”袋に入ったリンデロン点眼液でした。またまた別の日には別の患者さんが、「先生、あの黄色い目薬をください」(黄色? 黄色いキャップの目薬なんて処方してないし…)この患者さんの場合は目薬の液の色が“黄色”のブロナックのことでした。患者さんは必ずしも使っている点眼薬の名前を覚えていなくて、点眼薬を色で表現することがあります。ただ、医療者側の立場から私自身は“点眼薬の色=キャップの色”と思っていましたが、患者さんが表す点眼薬の色はそれだけではありませんでした。このほかにも、ジェネリック薬の名前や市販薬でも困りました。ジェネリック薬も有名なものならピンときますが、昔に出たあまり有名でないものは名前を聞いても何の目薬かわかりません。市販薬も「サンテ40を使っています」とか言われても正直私自身、「市販の点眼薬ですね」くらいにしか思っていなくて、どんな成分が入っているかもまったく知りませんでした。これではいけない! 処方薬は実際どんなものなのか、点眼瓶も袋も液の色もカタログのようにわかり、ジェネリック薬も探せて、市販薬についても成分や大事な添加物がわかるものが必要だ!と思い、企画したのがこの本です。なによりも私自身がこの本ができて本当に助かっています。この本を手に取ってくださった方々にも、この本が少しでもお役にたてれば幸いです。加藤 浩晃
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