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14解剖を理解し、リスクを予測した観察が、生命の危機を回避するための早期の対応につながります。さらに、治療による機能障害などの後遺症に対して、治療後のリハビリテーションや変化した身体で社会生活を送るための支援に加えて、患者が治療によって変化した身体を受容できるように、入院・外来を通した精神的支援が重要になります。 治療方法によって出現する障害や後遺症は大きく異なるので、患者が何を優先して治療を選択するのか、患者と情報を整理しながらいっしょに考える姿勢が重要であり、それが意思決定支援へとつながります。2終末期終末期においては、腫瘍の増大による臭気や出血のリスク、さまざまなつらい症状、意思が伝わらないもどかしさ、がんの進行による外見の変化などから、他者との交流を拒んだり、社会性が低下したりして、自己否定感情が強くあらわれることもあります。このように、終末期における支援もまた頭頸部がんの特徴をふまえた看護が重要になります。頭頸部がん看護は看護師の力が存分に発揮される領域多くの苦痛を抱えながら闘病している頭頸部がん患者の看護は、どのような段階においても、フィジカルアセスメントに加え、リハビリテーション看護、意思決定支援、症状緩和、精神・社会的支援、アドバンスケアプランニングとさまざまな要素を含んでいます。マズローの欲求5段階説(図1-2)に沿って頭頸部がんを考えてみると、次のように関連します。生理的欲求(生きるうえで必要な機能):呼吸すること、食べること安全欲求(社会生活を営むうえで危険を回避する機能):発声、嗅覚・聴覚、味覚(食べる楽しみ)社会的欲求:発声、聴覚、容姿図1-2 マズローの欲求5段階説自己実現の欲求尊敬欲求社会的欲求安全欲求生理的欲求(Maslow, AH. A theory of human motivation. Psychological Review. 50(4), 1943, 370-96.より引用)

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