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1頭頸部がんの看護第1章 総論 頭頸部がんの治療・看護15頭頸部は「呼吸」や「食べる」行為を司る部位であり、生理的欲求に大きく影響します。次に、喉頭摘出による失声や呼吸経路の変化による嗅覚障害、外耳道がんやその他の治療による聴覚障害は、危険を感じたときに助けを求めたり、臭いや音で危険を察知したりすることを難しくさせるため、安全欲求に影響します。また、生活を快適にするための食べる楽しみには味覚や嗅覚が影響するので、その面からも安全の欲求に影響します。さらに仕事を失えば経済的な問題が発生し、やはり安全の欲求に影響します。そして、さまざまな機能障害や容姿の変化は、他者との交流や仕事の継続を困難にさせ、患者が孤独を感じることで社会的欲求に影響します。これらの欲求が何らかの方法で満たされることで、尊敬欲求という今の自分を認め自己肯定感を高める内面からの欲求が生まれます。 頭頸部がん看護は、治療によって変化した自分を患者自身が認めることができるように支援することが重要です。そのために、マズローの欲求5段階説によるところの生理的欲求、安全欲求、社会的欲求を医療・看護の力で満たしながら、尊敬欲求への支援につなげていきます。頭頸部がん患者にとって看護師の存在は大きく、頭頸部がん領域は看護の力が存分に発揮される場であると考えます。引用・参考文献1)田原信ほか.臨床頭頸部癌学:系統的に頭頸部癌を学ぶために.東京,南江堂,2016,35.2)日本頭頸部癌学会ホームページより.http://www.jshnc.umin.ne.jp/general/index.html(2020年12月閲覧)3)酒井丈男.喉摘者の心身医学的検討.日本耳鼻咽喉科学会会報.97(8),1994,1412-22.4)Haisfield-WolfeME.etal.Prevalencecorrelatesofdepressionamongpatientswithheadandneckcancer:Asystematicreviewofimplicationsforresearch.OncolNursForum.36(3),2009,107-25.5)Harris,EC.etal.Suicideasanoutcomeformedicaldisorders.Medicine.73,1994,281-96.6)Kam,D.etal.IncidenceofSuicideinPatientsWithHeadandNeckCancer.JAMAOtolaryngolHeadNeckSurg.141(12),2015,1075-81.

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