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 耳鼻咽喉科・頭頸部外科(Otorhinolaryngology Head and Neck Surgery:ORL-HNSあるいはEar Nose and Throat:ENT)は,平衡障害,聴覚障害,中耳炎,顔面神経の障害を主に担当する耳科学,副鼻腔の炎症や腫瘍,アレルギー,顔面外傷等々を担う鼻科学,舌や口腔疾患,扁桃炎などの中咽頭,食道の入り口である下咽頭疾患や,睡眠時無呼吸を扱う咽頭領域,音声や嚥下に関係する喉頭領域,そして頭頸部癌や唾液腺,甲状腺腫瘍を扱う頸部領域など多岐に富んでいる.すなわち人が社会生活を営み,文化を発展させるうえで必要なコミュニケーションに関する聴覚と発声(構語機能)を担っている. 解剖学的には,頸から上で,眼と脳を除いた領域全てを診療する科であり,解剖学的には狭いが,疾患も多く疾患頻度も高く実際の診療は非常に幅広いものになっている.また年齢的にも幼小児から高齢者まで幅広く診療をする診療科であり,診断から治療まで一貫して関与でき,外科系でもあるが内科的な側面もある.さらに手術的な治療の多くは,機能再建外科となっている. 医学・医療は年々,高度化・複雑化・専門化し,患者さんの求める医療水準も高くなっている.また在院日数の短縮をはじめ,医療費削減に向けての効率化が求められている一方,医療安全や感染対策などの徹底も求められている.このような背景のもと,医療側にとって医療の現場はますます厳しいものになっている.医療現場において,患者さんに最も向き合う時間が多く,患者さんを理解しているのは看護師である.したがって,看護師における医学的な知識の習得は,良質な医療を提供するためのチーム医療にとって欠かせないものである. 2001年に初版が出版されて以来,本書は多くの方々に読まれてきた.そして2009年に新たな診療,手術手技,注目される疾患などについて掲載した改訂の第2版を発行し好評を得た.しかし医学は急激な進歩・変革を遂げており,今回は高齢社会にも対応するように,内容を更に充実し体裁も一新した.読者の要望に応えられるものと考えている. 本書を編集するにあたり,多忙な時間をさいて寄稿いただいた先生方に深く感謝申し上げるとともに,本書が医療の現場を担っている看護師の方々の日々の看護に役立つことを願っている. 2016年10月 東京慈恵会医科大学 名誉教授 森山 寛 

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