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「心電図なんて無味乾燥な波形が並んでいるだけで，なじめない．わけわかんない．試験に出なければいいのに」「不整脈は得体が知れず，いつ急変するかわからない．お願いだから私が夜勤のときには来ないでちょうだい」心電図や不整脈についてこのような苦手意識をもっている学生さんや医療従事者の方々は，きっとたくさんいます．驚くなかれ，循環器専門医とて例外ではありません．なぜでしょう？ 心電図は心臓のパフォーマンスを見事に表してるとはいえ，それを視覚的に，直感的にとらえることが難しいからです．その一方で，多くの研修医の先生，学生さんや看護師さんは心電図を克服したいと願っているに違いありません．「心電図を颯爽と読めたらカッコいいのになあ．でも，その手掛かりが見つからない……」そんな皆さん方の悩みを解決したいと思って作られたのが，お手元の『12誘導心電図よみ方マスター』です．基礎編とトレーニング編の2冊から構成され，この基礎編では心電図の基本的なよみ方はもちろんのこと，波形の変な（なんか違う）ところからよみ解く方法を伝授しています．したがって，最初から通読するのもよし，そんな面倒くさいことをやめて，今，目の前にある心電図の所見からひも解くのもよし，とても使い勝手のいい“つくり”になっています．基礎編をよんで「なるほど，そういうことか！」「ちょっとわかってきたかも」と手ごたえを感じたらチャンス！！ 次は，ぜひトレーニング編で問題に取り組んでみてください．どれだけ心電図がよめるようになったかチェックすることができ，さらなる実力アップにつながるでしょう．本シリーズ2冊を，心電図への苦手意識の克服，日常診療の手引きとしてご活用いただければ幸いです．さあ，私たちと一緒に心電図解読のプロフェッショナルへの旅へと出かけませんか？　本書をよみ終えたとき，あなたはきっと新しい自分に出会えていることでしょう．2018年3月近畿大学医学部循環器内科（心臓血管センター）教授栗田隆志はじめに