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3はじめに 私はラーメンが大好きです。美味しいラーメンの情報となれば、雑誌の特集記事やガイドブックなどの活字媒体、インターネット検索、ラーメン通の評判などさまざまな情報を駆使して調査し、吟味し、時には遠征してまで自ら食して検証します。なぜそこまでエネルギーを使うことができるかといえば、私はラーメンが大好きだからです。 私が心電図に関わってから、はや30年になりますが、「私は心電図が大好きです」という人には会ったことがありません。かくいう私自身も心電図が大好物かというとそんなことはありません。「著者がいうな」とお叱りを受けそうですが、それが普通です。仕事柄、必要に迫られて何とか理解できるようになったというのが実情です。 「千里の道も一歩から」ということわざがありますが、心電図に触れた当初は苦手意識が強くて、数年で二歩くらいしか進みませんでした。そんな状況でも、循環器内科に行く道を定めて、ある心電図セミナーに参加して「そーか、そーだったのか!」「なるほど、この波形はそんな意味があったのか!」とまさに目からウロコの体験をしました。魚をさばくことを怖がっていたところ、料理教室ではじめてウロコをとって三枚におろしてみたら……といったウロコつながりの開眼だと思ってください。ウロコさえ落ちれば、あとはマグロだろうがイカだろうが心電図だろうが、ドンドンさばけるようになっていきます。要はキッカケです。先日もカップ焼きそばのソースの袋が破れにくくて難渋しましたが、切れ目さえ入ればウソのように簡単に破り切れました。 本書は、千里の道を二歩程度しか進んでいない皆さんにお贈りします。内容は心電図の成り立ちや心電計の使い方、症状別の心電図、ペースメーカーなど多方面に及びますが、千里のスタート地点から始めてもいいし、七歩目くらいから始めてもいいような内容にしたつもりです。 まずは、落ちていない目からウロコを落としてみてください。2018年1月田中 喜美夫

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