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はじめに 救急患者の初期対応は,救命救急センターなどの初療室や救急外来のERで行われ,初期診断が行われます.初期診断では,全身の観察はもとより,患者や患者家族からの病歴の聴取や血液検査・画像診断といった精査を行います.この診断過程にはいくつかの根拠に則ったプロトコル(手順)があり,医師や看護師,技師の連携によって速やかに生命危機の回避を行います.この段階である程度の原因検索や救命のための初期対応が実施されますが,治療には手術やその後の集中治療が必要となります.一般的に救命救急センターを設置する施設では,救急患者を収容するための集中治療室を設けており,初療から集中治療の一連の流れをシームレスに保っています.このため,救急医療に携わる看護師は,救急患者の初期対応とその後の治療が円滑に進むために,救急診療の流れと初期対応が実施できる技術を修得する必要があります.また,心疾患患者の救急対応を行う施設,脳卒中の受け入れを専門とする施設,他にも精神科救急患者の対応を行う施設も同様です.救急患者に対応する人的資源の違いや環境の違いがあろうとも,救急患者の受け入れは,同様の流れで初期診療が行われ,生命危機の回避から集中治療の流れへと移行します. 今回,この書で取り上げた内容は,救急医療現場に特有な疾患とその対応を行うための看護師の技術の向上を目指す目的で,若手の看護師にも理解ができるよう仕上げてみました.まだ遭遇したことのない疾患や,見たことはあっても触ったことのない医療機器をイラストや写真で示し分かりやすく解説を加えています. 救急医療に携わる皆さんが今後学んでいくべきことは,出会った症例の振り返りを行うことはもちろんのこと,稀に遭遇する症例であっても行われるべき処置や治療が理解でき,看護師として対応するポイントをつかめる知識です.その知識を得るためには,さっそくこの書を手にしていただき,気になるところからでもよいのでご覧ください.願わくば,臨床実践の現場にも持参いただき,実際にあるものを見ながら読み解いていただくこともできるはずです. 本書が,救急看護に携わる皆さんの指南書となり,日々の臨床実践に活用されますことを切望いたします. 最後に本書の執筆に関わってくださった筆者の皆様に感謝申し上げます. 2018年1月佐藤 憲明
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