今、この本を手にしている方は、「手術室に行くことになったのだけど、ちゃんとできるかしら」とか「手術室だけは行きたくなかったけど、仕方ないなあ」など不安な気持ちがいっぱいで、できればこの本がそんな気持ちを払いのけてくれたらいいなあ、と思われているかもしれません。そのような方にぜひ読んでいただきたいのが本書です。手術室に来られる患者さんにとって、手術は人生の一大イベントです。患者さんの不安な気持ちが強すぎると、術後の合併症まで多くなってしまうので、術前の不安を和らげることはとても大切です。全身麻酔の手術中は、意識のない患者さんの体位や体温の管理をこまめに行うことが早期退院につながります。また、手術中の患者さんのバイタルサインの異常にいち早く気付き、適切な対処をすることは、患者さんを危険な状態から護ります。このように手術看護の役割はとても重要で、やりがいがある仕事です。本書のページをぱらぱらと繰っていると、手術室で働いてみたいという気持ちが、きっとわいてくることでしょう。2018年12月兵庫医科大学麻酔科学・疼痛制御科学講座主任教授 廣瀬宗孝みなさん、手術室看護師ってどんなイメージをお持ちですか?手術室看護師というと、術野で器具を医師に手渡す「器械出し看護師」のイメージが一番強いのではないでしょうか。実際に、医師と阿あ吽うんの呼吸で、術中に使用する器具を先読みして準備し、手術がスムーズに進行するよう医師と協力しあいます。もうひとつ、手術中に患者さんの介助をしたり、器械を準備したりする「外回り看護師」という役割があります。急に必要となる血液や薬剤を手配したり、記録を入力したり、チームメンバーの調整役となり患者さんの安全・安楽を守ります。今回、希望で手術室に配属された方もいれば、そうでない方もおられると思います。実は手術室は医療ドラマの影響もあって、一部の新人さんには人気の部署のひとつなんです。オペナースというと「デキる看護師」というイメージがありませんか?患者さんにとって一大イベントである手術に、緊張感を持って直接かかわる手術室看護師。無事に手術が終了したときの醍醐味、達成感はほかではなかなか味わうことができない貴重な体験です。ぜひ一緒に、その達成感を味わっていただけたらと思います。この本が、手術室に配属されたみなさんのお役に少しでもたてれば幸いです。2018年12月兵庫医科大学病院看護部手術センター看護師長 川越英子『手術室に配属ですか?!』を手にしていただいたみなさんへ
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