杉生 憲志岡山大学病院 脳神経外科・IVRセンター 准教授 ご存知のようにIVRとは、Interventional Radiologyの略で、癌や心臓・血管の病気、脳血管障害などに対して画像のガイド下に低侵襲治療を行う先進的医療です。岡山大学病院では2013年に総合診療棟1階に国立大学病院初の本格的なIVRセンターが完成しました。看護師、診療放射線技師、臨床工学技士、そして医療秘書がスタッフとして常駐し、放射線科・循環器内科・小児循環器科・消化器内科・脳神経外科の複数の科が麻酔科の協力を得て、全身のIVR検査・治療を一堂に集め、高度先進医療を提供しています。金澤 右放射線科教授(兼病院長)をセンター長に、私が副センター長として、センター内の連携を密にして、年間1万件を超える診断・治療を行っております。 このような中、メディカ出版から看護師・メディカルスタッフ向けのIVRで頻用する薬剤のガイドブックの編集を依頼され、それならば、岡大IVRセンター一丸となってブックを作成しようと臨んだ結果がこの本です。もちろん、同一施設で一連のつながりを持って書き上げるというメリットがある一方で、地方の一施設の偏った薬剤の使用を紹介しているというデメリットも考えられます。ご存知のように現代医学は、特にこの「低侵襲で患者さんに優しい」IVR治療は日進月歩です。それにつれて使用する薬剤に関しても、日々、新規薬剤の登場や、適応の変化が進んでおります。読者の皆様には、常日頃から、このブックを忙しい臨床の中でご愛用していただき、新たな薬剤の使用法や変化がありましたら、ブックに書き込んでいただくとともに、編集室にご一報いただければ幸甚に存じます。 薬剤は作用があれば副作用もあり、私共はその作用に期待して使用していますが、使用方法を誤れば“諸刃の剣”となり、患者さんの健康被害に直結してしまいます。もちろん実際のIVR治療に直接手を下すのは私共医師ですが、看護師さんには種々の薬剤の投与をお願いする立場であり、薬剤投与に関してはしばしば看護師さんに委ねているのが実状です。そのような中で、このブックが皆様の日常診療の一助となることを願ってやみません。本書が、皆様の書棚に飾られることなく、臨床の現場で文字通りボロボロになって、種々の書き込みで埋め尽くされるように頻用されることを願っております。 最後になりますが、本書を手に取っていただきありがとうございます。皆様からのフィードバックを期待して、序文に替えさせていただきます。2019年7月はじめに
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