302180153
12/14

24 YORi-SOUがんナーシング別冊このように働く薬です慢性骨髄性白血病(CML)は骨髄増殖性疾患の一つで、Bcr-Abl融合遺伝子から産生されるチロシンキナーゼの異常な活性化が発症の原因とされています。第1世代のチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)であるイマチニブの登場によって治療方法が一変し、多くの患者がイマチニブの内服のみで病気を長期間にわたりコントロールできるようになりました。しかし、一部の患者ではイマチニブで十分な効果が得られず問題となっていました。ニロチニブはイマチニブよりもBcr-Ablキナーゼに対する結合親和性を強化し、さらに有効性を高めるように設計された、第2世代のチロシンキナーゼ阻害薬です。血管外漏出時組織侵襲に基づく分類 なしこれだけは押さえておきたい薬の特徴◎第2世代のチロシンキナーゼ阻害薬◎相互作用を起こす薬剤が多いため、併用して服用 している薬剤に注意する◎食事による影響が大きい催吐リスク 軽度この治療の位置づけわが国では2009年1月に「イマチニブ抵抗性の慢性期または移行期のCML」を適応症として承認を取得しました。また、国際共同第Ⅲ相試験において、初発慢性期CMLに対してニロチニブはイマチニブを上回る有効性を有することが確認され、2010年12月に「初発慢性期または移行期のCML」に対してもニロチニブの適応が承認されました。イマチニブ抵抗性の場合は1回400mg、初発慢性期CMLの場合は1回300mgを食事の1時間以上前または食後2時間以降に1日2回、12時間ごとを目安に内服します。注意事項ニロチニブの生物学的利用能(バイオアベイラビリティ)は食事によって増加することから空腹時に内服することが重要です。ニロチニブの主要な代謝酵素はCYP3A4であり、本酵素を阻害する薬剤(アゾール系抗真菌薬など)、本酵素を誘導する薬剤(デキサメタゾンなど)、あるいは本酵素で代謝される薬剤(ミダゾラムなど)などと相互作用を有します。そのため患者が内服している薬剤の把握が重要です。また、グレープフルーツジュースはニロチニブの代謝に影響するため摂取を控えるよう指導します。抗生物質のクラリスロマイシンや抗精神病薬のハロペリドールはQT間隔延長を悪化させる可能性があるため、使用する際には注意が必要です。胃潰瘍や逆流性食道炎に対し処方されているプロトンポンプ阻害薬を内服しているとニロチニブの効果が低下する可1分子標的薬:Bcr-Abl2ニロチニブ薬の効果●慢性期または移行期の慢性骨髄性白血病商品名:タシグナ®塩酸塩水和物剤型 カプセル用量薬価ㅡカプセル50mg: 1,313.10円ㅡカプセル150mg:3,656.00円ㅡカプセル200mg:4,815.90円●剤型/用量と薬価

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る