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抗 菌 薬抗 菌 薬1.不明熱 13 感染症内科の外来をしていると、診療所や他の病院から「不明熱の患者を診てほしい」との依頼を受けることがあります。これは比較的多い依頼です。自験例をいくつかお話ししたいと思います。症例1 15年以上前の話になります。某診療所から「小学校低学年の子どもが繰り返す発熱で受診してくるので、診てくれないか?」との依頼がありました。数日間隔で高熱がでるというものです。来院したときは比較的元気であり、熱はありませんでした。経過が長いので、父親が心配して付き添っていました。 発熱患者が受診すると、必ず渡航歴を聴取します。渡航歴を聞かずして発熱患者を診療してはいけません。この日も例外ではありませんでした。小学校低学年であることが渡航歴を聴取しないという理由にはならないのです。そこで、「最近、海外に行ったことがありますか?」と聞いたところ、「パキスタンに行っていました」との回答でした。父親がパキスタン出身の人で母親が日本人だったのです。父親の里帰りについていったのです。この子どもは日本で生まれ、日本の幼稚園と小学校に行っていたので、日本語は流暢でした。また、顔貌も日本人の子どもと全く変わりません。そのため、診療所では渡航歴について聴取されなかったのです。更に父親に状況を聴いてみると、知人(インド人)およびパキスタンの医師(電話にて連絡)からマラリアではないかと言われていたとのことでした。1.不明熱抗菌薬を投与する理由が不明の熱ではない!

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