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はじめに 10年程前、メディカ出版の当時の担当者が浜松医療センターに来られ、「何か、読者が読みやすい感染対策の書籍が作れないものだろうか?」との相談がありました。私が、「そうですね。寝ころんでも読めるような本が作れたらよいですね」と回答したところ、「そう、それがいいですね。『ねころんで読める』をタイトルにしましょう」との返事でした。そこから「ねころんで読める」が始まったのです。企画から「ねころんで読めるCDCガイドライン」の発刊まで2年の歳月を要しましたが、それ以降、「読みやすく記述すること」を最優先とした書籍を作り上げる努力をしてきました。 本書は抗菌薬シリーズの3作目です。「ねころんで読める抗菌薬」にて感染症治療の原則、抗菌薬、病原体についての解説をしました。「もっと、ねころんで読める抗菌薬」では、各感染症における推奨抗菌薬についての記述をしました。これらは、「細菌感染症に遭遇したら、抗菌薬を投与する」という前提に立ったものでした。 しかし、臨床現場においては、細菌感染症もありうるが、ほとんどがウイルス感染症という場合があります。また、細菌が存在していても、抗菌薬で治療してはいけないという場合もあります。そのような状況では抗菌薬の投与は必要ありません。むしろ、投与してはいけないのです。それにもかかわらず、多くの医師が抗菌薬を処方しているのが現状といえます。 そこで、3作目では「抗菌薬を投与してほしくない疾患」を5つ取り上げてみました。これらの疾患に抗菌薬を処方することは、よほどの例外と思ってください。もし、躊躇なく処方しているならば、もう一度、考え直してほしいのです。 もちろん、細菌感染症に抗菌薬を処方することは多く経験することなの
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