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ですが、その前にじっくり考えてほしいことがあります。「感染症があれば、同定された細菌に効く抗菌薬を処方する」といった、右から左への処方をするのではなく、一瞬でもいいから、考えてほしいことがあるのです。それについて「抗菌薬を投与するときに、じっくりと考えてほしい状況」を3つ解説してみました。 その他にも、感染症診療で必要なことは数多くありますが、そのなかでもリンパ節腫脹、血液培養、薬剤熱について取り上げてみました。リンパ節腫脹は日常的に遭遇する身体所見です。血液培養は適切に実施しなければ役立たないばかりか診断を誤った方向に誘導する検査です。そして、薬剤熱について理解していなければ、薬剤の処方はできません。これらについては是非とも理解を深めてほしいのです。 読みやすくするために、少し舌足らずになっている記述もあると思います。また、余りにも大雑把に記述してしまったところもあります。しかし、抗菌薬を処方するときに、是非とも考えていただきたいことをお伝えできれば幸いです。 本書が読者の方々の感染治療に少しでもお役に立てることを希望いたします。そして、このような企画を提示していただいたメディカ出版の井澗富美氏に心から感謝の意を表したいと思います。平成28年1月吉日浜松医療センター矢野 邦夫
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