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10 [1]隔離予防策 吉田兼好の随筆「徒然草」に仁和寺の僧侶の話があります。この僧侶は、年を取るまで、石清水八幡宮(京都府八幡市)にお参りしたことがありませんでした。それを情けなく思って、あるとき思い立って、一人で参拝にゆきました。しかし、男山の山麓にある極楽寺や高良神社などをお参りして、そのまま帰ってしまったのです。実は石清水八幡宮の本殿は男山の山上にあったのです。すなわち、この僧侶は付属の社寺を本殿と勘違いして、石清水八幡宮の本殿に行くことなく帰ったことになります。 帰ってから、仲間の僧侶に「日頃思っていたことを成し遂げました。聞いていた以上に厳かなところでした。それにしても、参拝に来ている皆さんが、山の方に登って行ったのは何事かあったのでしょうか? 自分も行ってみたいと思ったのですが、神様にお参りすることが目的だったので、山には上りませんでした」と言ったそうです。この話は、「これで終わりと思っても、もう一歩、先がある」「些細なことでも、そのことについて導いてくれる人が必要である」といった教訓を説いていると思います。 前置きが長くなりましたが、手指衛生にも「もう一歩、先がある」のです。そして、些細なことと思われるかもしれない「大切なこと」があるのです。 病棟や外来における手指衛生や手術室における術前手洗いはCDCの手指衛生ガイドラインの影響を大きく受けています1)。病棟や外来では「石鹸と流水を用いた手洗い」から「アルコールを用いた手指消毒」に移行しました。術前仁和寺の僧侶(徒然草)手指衛生について誤解していませんか?

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