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12 [1]隔離予防策能です。実践的な対策としてもアルコールによる手指消毒のほうが石鹸と流水による手洗いよりも有利なのです。三つ目は、手荒れの軽減効果です。「アルコールは手指を乾燥させるので、手荒れを作り出してしまう」と思う人もいるかもしれませんが、アルコールに保湿剤が入ることよって、最も手に優しい手指消毒薬に変身したのです。 ここで思い違いをしている人がいることに注意してください。「アルコールは石鹸と流水よりも殺菌効果が強い」というところを意識しすぎているのです。手指が蛋白物質や体液などで肉眼的に汚れているときには石鹸と流水にて手洗いするのですが、アルコールの方が殺菌効果が強いということから、「手洗いだけでは手指衛生が不十分であろう」ということで、手洗いのあとにアルコール手指消毒を追加してしまう人がいるのです。 「石鹸と流水による手洗い」と「アルコールによる手指消毒」を比較すると後者のほうが殺菌効果が強いので、前者のみでは不十分と思ってしまう気持ちはわかります。しかし、この二つを連続して実施してしまうと手荒れを作り出してしまうのです。手荒れは手指での微生物の生息に有利な環境を与えてしまうので、感染対策としては低下します。そのため、石鹸と流水で手洗いしたあとのアルコール手指消毒を可能な限り避ける努力が必要なのです。基本的には「石鹸と流水による手洗い」または「アルコールによる手指消毒」のどちらか一方を実施するのです(図1)。 感染対策チームのラウンドはどちらの病院でも実施されています。このとき、「石鹸と流水による手洗い」または「アルコールによる手指消毒」のどちらか一方を実施する。「石鹸と流水による手洗い」のあとの「アルコールによる手指消毒」は、可能な限り避ける。

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