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雨時のジメジメしているときでも、靴の中が蒸れるといってスリッパで仕事をすることはありません。しかし、手術室では「長時間の手術をするから靴を履いていると足が蒸れる。スリッパがよい!」などといって足を守ろうとしない医療従事者が数多くいるのが現状です。手術室は血液が滴り落ち、メスなどの鋭利物が足に落下する危険な区域であるにもかかわらず、足を無防備にしてしまうのです。 このような一般常識から懸け離れた「医療施設の常識」を本来あるべき姿に引き戻したいと考えました。それが本書の目的の1つです。そのために、各項目の冒頭に一般的な話や物語を記述し、一般常識を保ったままCDCガイドラインの重要ポイントを紹介するようにしました。 本書の目的にはもう1つあります。それは、これから感染対策を始めようと思っている方々に一気にCDCガイドラインを紹介してしまおうということです。漫画本や週刊誌などを読むような気軽さで読み始め、読み終わっ たときにはCDCガイドラインの重要部分が理解されているという状況にしたいのです。CDCは数十年をかけて、ガイドラインを数多く公開しています。それらすべてを読破することなど不可能です。しかし、感染対策を実施していくためにはCDCガイドラインの基本的な考え方は理解しておかなければなりません。そのための一助となることも本書の目的となっています。 最後に、このような企画を提示してくださったメディカ出版の井奥氏に心から感謝の意を表します。また、浜松医療センターの感染対策を担当し、CDCガイドラインの実践に全力を尽くしている衛生管理室(感染対策室)のスタッフに深謝の意を表します。平成30年12月吉日浜松医療センター 副院長 兼 感染症内科長矢野邦夫

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