患者教育の変遷151 はじめに、私たち医療者側が患者さんをどうとらえているか、ということについて少し振り返ってみましょう。 たとえば、大きな病院などでさまざまな病気の患者さんと接していると、患者さんを比較してしまうことがありませんか? 小児がんで余命いくばくもない子どもというと、「かわいそう」とすごく同情して、なんとかしてあげたいと思う。片や、自分が接している患者さんは、食事とか運動とか、ちょっと努力すればデータもよくなるのに、それをしない。努力しても病気が治らない患者さんも大勢いるなかで、努力すれば病状が改善する人と接していると、「タバコくらい、どうしてやめられないの?」と責めたくなります。あるいは、同じ糖尿病の患者さん同士を比較して、「Aさんはがんばって禁煙を続けているのに、Bさんは……」ということもあるでしょう。 でも、ここでよく認識しなければいけないのは、私たちは患者さん一人ひとどうしてやめられないの?まず自分を振り返ってみよう
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