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81第2部事例編1第章通院を中断していた2型糖尿病患者夏川さんへの教育的関わり場面1「大きい母親」と「小さい息子」の構図を変える TK看護師は、母親が40歳の夏川さんを子ども扱いする様子に違和感を抱きながらも、まずは母親の思いを尊重しようと、じっと我慢して長い話を聴きました。ひと通り話し終えた母親は、「今回こちらのクリニックでも糖尿病と言われたことで本人は多少やる気になっているとは思うんですけれど、どうなんでしょうね」と、TK看護師に質問しました。 TK看護師は、夏川さんを差し置いて母親が一方的に話す雰囲気が、夏川さんをパワーレスにしていると感じました。そこで、「息子さんのことを心配されているのですね」と母親に答えてから、うつむいている夏川さんへ身を乗り出し、目線の高さを合わせて「夏川さん自身はどう思っていらっしゃいますか」と穏やかな口調で尋ねました。TKモデルを用いた解説 TK看護師は40歳の息子を子ども扱いする母親への違和感から、夏川さんが主体的に食事療法に取り組めず(本来の力を発揮できず)、母親が空回りしているのではないかと予想しました 。 しかし、息子の健康の心配や養育者としての罪悪感など、複雑な思いも同時に感じました。母親の思いも尊重しようと、まずは母親の話を否定せずに聴き、「心配されているのですね」とねぎらいの言葉をかけました。そして、夏川さんが治療の主役だというメッセージを態度で示しながら声をかけ、思いを聴こうとしました。このような関わりは、萎縮している夏川さんが少しずつ自身の力を発揮できるようになるための働きかけといえます 。1【とっかかり/手がかり言動とその直感的解釈】【PLC】≪尊重する≫≪聴く姿勢を示す≫122家族が同席していると、家族の努力を認めようとして、「お母さんがこんなに心配しているのだから、夜に食べたりしちゃだめじゃないですか」と一緒になって生活態度を批判してしまいがちです。批判すると、患者はますます小さくなります。「僕はダメだ」などの低い自尊感情は食事療法への取り組みを妨げます。声のかけ方を工夫しましょう。
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