2糖尿病治療には専門性の高いスタッフが必要 1980年代から1990年代にかけ、わが国において糖尿病患者数が激増し、糖尿病がいわゆる「国民病」といわれるようになって久しいのですが、その後2000年代になってもアフリカや東アジアを中心に患者数の激増は持続し、今や糖尿病は罹患率、死亡率の高い感染症に匹敵するほど世界中の脅威となっています。 患者数増加の要因は、個々の国々、地域でさまざまですが、その大きな要因の一つに社会的、経済的変化に基づく生活環境、生活習慣の急激な変化があげられます。それより以前から、糖尿病の治療の基本はインスリン注射を含めた薬物療法に加え、これらの生活習慣に介入する食事療法、運動療法が必須とされています。そしてそのためには医師以外の管理栄養士、看護師をはじめとした多職種のチーム医療が推奨・実践されてきました。 そのようななかで、医療従事者の幅広い糖尿病の専門知識、技術を認定する制度が、1986年ごろからアメリカやオーストラリアなどで始まりました。日本でも2001年に日本糖尿病療養指導士認定機構による日本糖尿病療養指導士(certied diabetes educator of Japan;CDEJ)の資格認定制度が開始されました。2018年の時点で、日本糖尿病学会の糖尿病専門医数約5,000人あまりに対し、CDEJの数は19,000人を超えています。さらに各都道府県では日本糖尿病協会を中心に地域糖尿病療養指導士制度が発足し、その裾野はますます広がってきています。 このような糖尿病の診療にかかわる専門性の高い医療従事者の裾野の広がりは、その必要性が患者さんに接する実地臨床の現場から自然と湧き上がっ「ピンチはチャンス」から「お悩み相談」へはじめに
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