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4る現状を鑑み、当初は「何を今さら」という思いのほうが強く感じられました。しかし一方では、今の成書、テキストがあまりに完成され、わかりやすく、よくできていることに関して、少し危惧を感じていたのも事実でした。それは「現場の皆さんが多くの本を読んで勉強し実践したとき、うまくいけばよいが、うまくいかなかったときにどう感じているのだろうか? 落ち込んではいないだろうか? 次に向かってつねに前向きに仕事ができているだろうか?」という疑問があったのです。 もともと、筆者の連載は学術的な理論、スキルやテクニック、アプローチ法を伝授する教科書ではありません。自分自身、自分たちのチームの失敗体験を基にした失敗例集です。失敗経験が自分たちを育て、成長させてくれたことから、読者の皆さんと共有できればと思い、伝えてきました。 「野球入門」「スケート入門」の本を何冊読んでも、技術が向上するとはかぎりません。練習、失敗、成功体験を積み重ねることでレベルアップが可能です。今振り返ると、筆者の連載の根底にあったのはその経験を積み上げるための心構えであったり、スタンスの原理原則であったと思います。 そこで今回、書籍化の企画を受けるに際し、出版社に無理をお願いして以下の事項の許可をいただきました。1.基礎編として全体の根底に共通する伝えたい、あるいは伝えるべき項目を、7ヶ条として追記すること。2.応用編(本書における第1章から第7章)として過去の連載記事を掲載するにあたり、重複を避け、今の時代にそぐわないものは削除すること。3.一部の不足した項目、現在の診療に即した新たな項目に関して加筆、修正を行うこと。 この結果、過去の連載の単なる集約本の域を少し超えているとは思いますが、新たな読者にも読んでもらいやすいように、また筆者の伝えきれなかった内容も存分に伝えられるようになりました。まず、基礎編をすべて読んでいただき、応用編はそのときどきに活用してください。

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