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12の語源は「馬車(coach)」に由来します。そこには「大切な人をその人の望むところに送り届ける」という意味があります。その後、英国のオックスフォード大学で学生を教育する個人教師の呼び名となり、19世紀末、英国でボートの指導者を「コーチ」と呼ぶようになったことから、次第にスポーツ競技の指導者を「コーチ」と呼ぶようになりました。 1980年代に入り、米国のビジネス界では経営者につくコーチが生まれました。1990年代、コーチ育成機関の誕生によって米国に爆発的なコーチングブームが起こりました。1990年代後半にようやく日本のビジネス界にもコーチングが導入されるようになり、1999年に日本コーチ協会が職能団体として設立され、2000年にNPOとして認証されました。コーチングは、海外では医療分野にまで進出しており、糖尿病1)、脂質異常症2、3)、うつ病4)、がん性疼痛5)などの臨床研究においてその有用性が報告されています。今なぜ日本の医療現場に コーチングが必要なのか このようにコーチングが医療分野に広がってきているのはどうしてでしょうか? それは従来の「ティーチング」や「コンサルティング」といった知識を一方的に与える、つまり指示命令する一方通行型のコミュニケーションだけでは、うまくいかないケースが増えてきているからです。みなさんのなかにも「知識量≠行動力」ということを身をもって体感している人が多いのではないでしょうか? つまり「人の行動は、知識や対応策を与えるだけでは変わらない場合が多い」ということです。 そこで、患者さんがもっている知識をみずから上手に使いこなしていけるように導くコミュニケーションスキルの必要性が高まってきました。コーチングには、「相手の自発的な行動を促す」という側面があります。これが、双方向型のコミュニケーションであるコーチングが医療現場で注目されるようになってきた理由です。

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