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1.血液中のブドウ糖 血糖はおもに食べ物に由来します。食事をすると、そのなかに含まれる炭水化物は、さまざまな消化酵素により分解(消化)されてブドウ糖となり、小腸の上皮細胞から体内に取り込まれ、血液中に流れ込みます。このようにして血液中に流れ込んだブドウ糖の濃度を血糖値といい、「mg/dL」という単位で表します。 食事をすると、ブドウ糖が血液中に流れ込んで血糖値が上昇します。ブドウ糖は、全身の組織へと運ばれ、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンのはたらきによってさまざまな細胞に取り込まれ、脳や筋肉、内臓が動いて生命を維持するエネルギー源として利用されます。余分なブドウ糖は肝臓でグリコーゲンとして蓄えられます。血糖値が低下すると、膵臓から分泌されるホルモンであるグルカゴンなどのはたらきによってグリコーゲンがブドウ糖に分解され、血液中に放出され血糖値を上げます。2.血糖値の種類 血糖値には、10時間以上絶食させたあとの空腹時血糖値と、食事と採血時間の関係を問わない随時血糖値、食事開始後の食後血糖値があります。空腹時血糖値は肝臓から放出されたブドウ糖の量に由来し、食後血糖値はそのときに摂取した食事と各組織でのブドウ糖の取り込みのバランスによって決定します。血糖値は糖代謝異常があるかどうかの判定(図)1)や、治療を行う際に確認します。図 空腹時血糖値注1)および75gOGTTによる 判定区分と判定基準(文献1より)注1)血糖値は、とくに記載のない場合には静脈血漿値を示す。注2)正常型であっても1時間値が180mg/dL以上の場合は180mg/dL未満のものに比べて糖尿病に悪化する危険が高いので、境界型に準じた取り扱い(経過観察など)が必要である。また、空腹時血糖値が100〜109mg/dLは正常域ではあるが、「正常高値」とする。この集団は糖尿病への移行やOGTT時の耐糖能障害の程度からみて多様な集団であるため、OGTTを行うことが勧められる。日本糖尿病学会糖尿病診断基準に関する調査検討委員会.糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版).糖尿病55,2012,492.より一部改変引用・参考文献1)日本糖尿病学会編・著.糖尿病治療ガイド2018-2019.東京,文光堂,2018,21. (佐伯 楓・本田一春)血糖測定時間判定区分空腹時負荷後2時間血糖値(静脈血漿値)126mg/dL以上または▶200mg/dL以上糖尿病型糖尿病型にも正常型にも属さないもの境界型110mg/dL未満および▶140mg/dL未満正常型注2)第章1糖尿病の病態生理1「血糖」とは何?血液中のブドウ糖のことです。ブドウ糖は、血液の流れとともに全身へ運ばれていき、細胞に取り込まれ、生命を維持するエネルギー源となります。10糖尿病ケア別冊

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