302220451
10/12

透析療法の基礎知識10改訂2版 はじめての透析看護●心拍出量の約1/5にあたる1L/分(1,440L/日)が腎血流量です.●輸入細動脈から糸球体を通過する間に,血球成分と蛋白質を除いた液が濾過されてボウマン嚢に出され,これが尿の元になります.これを糸球体濾液と呼びます.成人では1分間に0.1L,1日で144Lにもなります.●尿として1日に排泄される量は通常1.5L前後ですから,糸球体濾液の99%以上の水分は尿細管で再吸収されることになります.●その他の物質も再吸収と分泌という過程を通して適正な量を排泄する調節を受けています.●1.5L程度の尿しか排泄しないのに144Lの原尿が必要なのは,体の代謝でできた多量の老廃物を濾過で排泄するのに必要だからです.糸球体濾過と尿細管調節の意味腎臓の機能●腎臓には,①体内環境の恒常性を維持する機能,②ホルモンを産生・分泌し,自身もその作用を受ける内分泌臓器としての機能があります.●尿細管では種々の物質の再吸収,分泌,酸塩基の平衡の調節が行われます.●尿細管の管腔側(尿の流れる側)と側底膜側(間質や毛細血管側)には,能動的な物質ポンプや特異的な輸送体があり結果として再吸収,分泌が行われています.尿細管における再吸収と分泌アルドステロン作用ADHが作用糸球体集合管遠位曲尿細管近位曲尿細管PTHが作用水,ブドウ糖,アミノ酸,Cl- K+ HCO3- HPO42-Ca2+ Mg+144L/日Na+H+ヘンレのループ300mOsm/kg水尿素対向流増幅系(髄質の高浸透圧化)Na+Cl-Na+Na+K+K+H+H+Na+Cl-髄質最大1,200mOsm/kgPTHが作用1.5L/日(0.5~30L/日)能動的受動的水透過性あり水透過性なし水尿素HCO3-Ca2+皮質尿細管の部位別機能

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る